引退の森唯斗が期待するDeNA24歳 潜在能力抜群も…もどかしい現状「考え方ひとつ」

DeNA・松本凌人【写真:栗木一考】
DeNA・松本凌人【写真:栗木一考】

横手投げから150キロ超「あの球があるのに、何がダメなんだろうって」

 ソフトバンク、DeNAでプレーし、今季限りで現役を引退した森唯斗投手。DeNAでの在籍はわずか2年間ながら、どんなときも手を抜かずに汗を流す姿は、後輩たちに慕われた。そんな森が覚醒を期待するのが、来季3年目を迎える松本凌人投手だ。「もったいない」と厳しい言葉も口にしながら、熱い思いを明かした。

 2月の春季キャンプから、いつも行動をともにしていた。2軍調整時にはキャッチボール相手を務め、テーマを持って取り組むように促した。「横(サイドハンド)から150キロ超って、意味わからないでしょう」。24歳の潜在能力の高さは、誰よりもわかっている。

 だからこそ、もどかしい。松本凌は2023年ドラフト2位で名城大から入団し、即戦力と期待された。ルーキーイヤーは開幕1軍入りを果たして4月に初ホールドを記録も、10試合で防御率5.91に終わった。勝負の年と位置づけた今季もわずか4試合で防御率7.36。2軍では49試合に登板して防御率4.36だった。

 森はDeNAで気になる後輩について「松本凌人です」と即答。「あの球があるのに、何がダメなんだろうって」と率直な思いを口にする。「絶対に考え方ひとつ。けちょんけちょんに言ってきたんですけど、それが響いていると僕は思って言っていました。もったいないなと思うのが一番あるので」。その口調は次第に熱を帯びた。

今季限りで引退した森唯人氏【写真:小池義弘】
今季限りで引退した森唯人氏【写真:小池義弘】

松本凌人は背番号を「34」から森唯斗が背負った「38」に変更

「来年もし出てこられなかったら、あいつは投球だけじゃないいろいろな能力がないか、向いていないかになってくる。あいつにとっても来年3年目、出てこないと厳しい。このオフ、どうやってもっていくか。どういうところでアピールするか、どこを進化するか、それが大事だと思います」

 森はシーズンを終えてすぐに福岡市内に帰ったが、頻繁に連絡を取っているという。松本凌は、背番号を「34」から森がつけていた「38」に変更。覚悟を持って来季へ動き始めている。

「あいつがどう変わっていくのか、どうなっていくのか、自分の中では楽しみですね」と森。ハッパを掛けながら、“弟分”の成長を誰よりも願っている。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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