宮城大弥も笑う“落ち着き” オリ育成・宮國凌空の成長と進化…異国で手にした自信

1年目は6登板で防御率7点台→今季は18登板で6勝、2.33
プロ1年を通して確かな手応えを得た。オリックス育成2年目の宮國凌空投手は、年末に故郷で開かれる野球教室に同郷の宮城大弥投手と初めて参加する。シーズン、そしてオフには異国の地で武者修行。来季は支配下入りを目指す。
「今年の開催地が少年野球時代にお世話になった場所で、(少年野球チームの先輩の)宮城さんから『これは行かないわけにはいかないね』と誘われました。去年は辞退させていただいたのですが、自信もつきましたから少しでも恩返しをしたいと思っています」。宮國が声を弾ませた。
宮國は沖縄県宜野湾市出身。宮城大弥投手と同じ「宜野湾ポニーズ」でポニーリーグ日本代表に選ばれた。東邦高(愛知)から2023年育成ドラフト3位でオリックスに入団。2年目の今季は18試合登板(69回2/3)で6勝3敗、防御率2.33。安定した成績を残し、平井正史2軍投手コーチから「一番成長しましたね。体も強く一度も故障をしていませんし、投げる球やマウンドの使い方なども打者との対戦を通じて慣れてきています」と高い評価を受けた。
故郷での野球教室は、「プロ野球沖縄県人会」が企画。チームの先輩の大城滉二内野手や宜保翔内野手、宮城のほか、西武・與座海人投手らが参加する。今年の会場は、宜野湾市役所向かいの「Baseball field2」。宮城と宮國が所属していた「宜野湾ポニーズ」の活動拠点で、2人にとって野球の原点でもある。
宮國は昨年に別の会場で開かれた野球教室に参加を求められたが、6試合に登板し、0勝1敗、防御率7.56という成績では参加を躊躇せざるを得なかったという。今回の参加は、場所はもちろんだが、1年間で得た自信があったからだ。
シーズン後に派遣された台湾ウインターリーグでは、先発で3試合に登板し、2勝0敗、防御率1.80。成績以上に大きな収穫となったのは、新たな武器を手にしたことだったという。「チェンジアップとフォークの落ちる系のボールを武器にしたいと思っていたのですが、使えるという自信はつきました」。これまでストレートやスライダーを武器にしていたが、球速帯が違う遅いチェンジアップで投球の幅を広げる狙いがあった。「これまでは勝負球で使えなかった球種で、得意なスライダーに頼ってしまうところがありました。打者の反応もよく、投げる感覚もよかった」と胸を張る。
宮國について宮城は、「長いイニングを投げられるようになって体力的にも十分だと思います。育成選手ですが期待されている感じはしますね」とほめつつ「少し大人過ぎるな、という感じもします。高卒2年目の割には、ちょっと落ち着きすぎている感があります。僕も(そのころ)どう見られていたのかわかりませんが(笑)。キャピキャピしろとは言っていませんが、もうちょっと若くてもいいかなと」と、注文することも忘れなかった。逆にいえば、打者に向かっていく姿勢やマウンドさばきが、高卒2年目にしては落ち着いているという評価なのだろう。
「ボールが違いますし、マウンドも球場など環境が変わった中で、それに対応することができたのはよかった。課題を潰せた(台湾での)1か月だったと思います」。大きな自信を胸に、3年目での支配下に臨む。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)