片山楽生が誓う“恩返し”「冬に練習できる環境を」 地元・北海道音更町で広げる支援の輪

オリックス・片山楽生【写真:北野正樹】
オリックス・片山楽生【写真:北野正樹】

北海道音更町出身の片山楽生が呼びかける、ふるさと納税を活用した支援

 オリックスの片山楽生投手が、地元・北海道音更(おとふけ)町が計画している「全天候型屋内練習施設」の建設に向け、ふるさと納税での支援を呼び掛けている。「冬場に十分な練習ができないハンディキャップは相当大きいと感じてきました。そんなに大きくない施設ですが、確実にレベルアップにつながります」と、故郷にできる室内練習場の完成を心待ちしている。

 片山は、白樺学園高(北海道)、NTT東日本を経て2024年ドラフト6位でオリックスに入団。多彩な変化球を武器に打たせて取る投球で、プロ1年目は1軍で21試合に登板し、1勝0敗1ホールド1セーブ、防御率2.10でチームのAクラス入りに貢献した。

 出身地の音更町は、十勝平野に広がる帯広市のベッドタウンで、人口は道内の町村で最も多い約4万3000人。冬季はマイナス20度を超えることもあり、積雪も多い。野球などは屋外で行うことができないことから、競技上の大きなハンディキャップになっている。このため、町では「どこで生まれたかを夢の足かせにしない」を合言葉に屋内練習場の建設を決め、11月1日からふるさと納税での資金援助を始めた。目標額は5000万円で、12月18日朝の段階で、約1000万円が寄せられている。

 同町初のプロ野球選手である片山は「高校生になればビニールハウスの中で距離の短いブルペンを作って投球練習をしたり、軽いノックを受けたりすることができますが、冬場の練習の基本は、体力作りのトレーニングが中心。野手はボールを使った練習ができないため、感覚を戻すのに時間がかかります。冬に練習ができる環境が整えばレベルアップが可能になります」と、自身の経験をもとに冬場でも練習できる施設の重要性を語る。

 チームメートで北海道赤平市出身の高島泰都投手は、「僕の地元も積雪が2メートル以上あり、冬場は体育館で練習をしていました。床を傷めない軟式なので、軽いノック程度はできましたが、思い切り練習することができませんでした。プロ入りして帰省しても練習場所がないため、短期間で帰阪しなければなりません。野球に限らず、冬でも練習ができる公共の施設があれば、北海道のスポーツのレベルアップにもつながると思います」と期待を込める。

「北海道で育った野手がドラフト上位で指名される選手になるためには、現状の練習環境では厳しく、ハードルは高いですね。いろんな機会を通して支援を呼び掛けたいと思っています」と片山。ふるさと納税での支援は2026年3月31日まで受け付けており、春季キャンプやオープン戦、公式戦を通じて、支援の輪を広げていく

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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