「4年連続4位」も…楽天ブルペン陣が示した可能性 先発陣は“ゼロ”と苦戦も、目立った奮闘

3年連続リーグワーストだったチーム防御率は若干改善
三木肇監督のもと始動した2025年の楽天は、67勝74敗2分、勝率.475、パーソル パ・リーグ4位でシーズンを終えた。4年連続4位と悔しい結果に終わった一方で、多くの若手選手が頭角を表し、来季に向けた収穫も多かった1年とも言えるだろう。
チーム防御率は昨季まで3年連続リーグワーストだったが、今季は、リーグ4位タイの3.37。同じく昨季リーグワーストだった失点もリーグ3位と、昨季までの課題が少しずつ改善されつつある。
しかし、今季規定投球回に到達した投手は0人。なかでも昨季2桁勝利を挙げた早川隆久投手は2勝8敗、防御率4.35、藤井聖投手は6勝7敗、防御率3.20に終わるなど、先発陣に課題が残った。
チーム最年長の岸孝之投手は、規定投球回には到達しなかったものの、チーム2位の109イニングを消化。今年も衰え知らずの粘り強いピッチングでチームを支えた。今季初登板となった4月3日西武戦では、7回1失点で勝利投手となり、ルーキーイヤーから19年連続の勝利をマーク。さらに、8月26日のソフトバンク戦では、6イニングを投げて1失点(自責点0)と試合をつくり、自身通算170勝に到達。同試合でNPB通算22人目となる400登板を達成した。
また、6月12日中日戦、7回無失点の好投でチームの連敗を止めた後のヒーローインタビューで残した「こんなもんじゃないぞイーグルス」という言葉も話題に。後日、この言葉がデザインされたタオルが発売されると、チームの終盤戦ポスターにも用いられるなど、プレー以外の部分でも最年長としてチームをけん引した。通算200勝まであと「30」。来季の活躍にも期待がかかる。
2年目の古謝樹も奮闘、チームトップタイの7勝をマーク
今季チームトップの白星を挙げたのは2年目・古謝樹投手だった。昨季ドラフト1位で入団した古謝は、2月の春季キャンプに背中の張りで離脱。それでもオープン戦で実戦復帰すると、開幕カード2戦目の3月29日オリックス戦では白星つかずも5回2安打無失点の好投。4月6日ロッテ戦では、9回103球3安打無失点で自身初の完投・完封勝利を挙げている。
また、9月26日のソフトバンク戦では、6回途中1失点と試合をつくり、キャリア初の100投球回に到達。5勝8敗だった昨季と比較すると、今季は19試合で7勝7敗と、大きく成長した姿を見せた。来季は、中継ぎ陣の負担を減らすためにも、7回まで投げ切る試合を増やしたいところだ。
4年目・西垣雅矢投手は、中継ぎとしてチームトップの63試合に登板した。昨季までは1軍に定着することができなかったが、今季は開幕1軍スタート。5月25日日本ハム戦では、同点のまま迎えた延長11回に登板すると、2死から四球を出したものの無安打無失点に抑え、プロ初ホールドをマークした。
以降も安定した投球を続け、終盤には勝ちパターンに。63試合を投げて、7勝1敗、14ホールド、21ホールドポイント、防御率1.96と大躍進の1年を過ごした。また、7勝は古謝投手に並んでチームトップの成績だ。シーズンを通して、西垣投手の熱投が試合の流れを変え、チームに勝利を呼び込んだと言えるだろう。
西口直人、加治屋蓮、藤平尚真らブルペン陣は奮闘
9年目・西口直人投手は、右ひじの手術から復活を果たした。2023年9月にトミー・ジョン手術を受けた影響で、昨季は育成選手としてリハビリに励んだ。2月に支配下復帰すると、順調な調整ぶりを見せ、開幕1軍メンバーに名を連ねた。
5月13日ロッテ戦、同点で迎えた9回、5番手としてマウンドに上がると、2三振を含む3者凡退に封じる。直後の9回、チームは渡邊佳明内野手の犠飛でサヨナラ勝利。1003日ぶりの勝利を手にし、ヒーローインタビューでは「うれぴー!」と喜びを爆発させた。
7月6日には開幕から26試合連続無失点の球団記録を樹立。同8日に今季初失点も、結果として52試合で3勝1敗、31ホールド、防御率1.07と圧倒的な成績を残し、見事な復活劇を見せた。
昨季から中継ぎに転向した藤平投手は、今季もフル回転の活躍を見せ、自己最多の62試合に登板した。シーズン最終戦の10月5日には、2番手として登板すると1イニングを無安打1奪三振無失点に抑え、球団新記録となる29試合連続無失点を記録。結果としては62試合を投げて、2勝2敗、21ホールド、防御率2.11で9年目のシーズンを終え、シーズンを通してブルペンを支えた。
新加入の加治屋蓮投手も躍動した。2軍で開幕を迎えたものの、4月上旬に昇格。5月27日西武戦では、同点の7回を3者凡退で切ると、直後に味方が勝ち越し、移籍後初勝利を手にした。夏場にはやや調子を落としたものの、12年のキャリアを生かした修正力で、ケガ無く移籍初年度を走り抜け、52試合で2勝1敗、18ホールド、防御率3.50を記録した。
5年目の内星龍投手は、先発、中継ぎの両方で起用された。昨季、本格的に先発へ転向したが、中継ぎ陣の離脱などを理由に今季から中継ぎに再転向。先発や先発投手が早いイニングで降りた試合でのロングリリーフなどの起用もあったが、見事応えてみせた。ドラフト3位・中込陽翔投手、ドラフト5位・江原雅裕投手は1軍デビューを果たしている。
昨季2桁勝利の早川隆久&藤井聖は苦難の1年に
早川は、4月4日ロッテ戦、7回1失点で今季初勝利も、そこから約2か月半白星から遠ざかるなど本来の力を発揮できず、7月4日の登板を最後に1軍登録を抹消。以降は2軍での調整が続いた。9月3日に再昇格し、同日の西武戦に先発も、3回途中6失点と先発としての役割を果たすことができず。9月末に左肩後方関節唇クリーニング術を受け、試合復帰まで4~5か月を要することが発表されている。
藤井は、4月8日日本ハム戦で今季初先発も、5回2失点で勝敗つかず。以降も、安定した投球をなかなか披露することができず、5月半ばまで白星から遠ざかる苦しいシーズン立ち上がりとなった。5月16日ソフトバンク戦で今季初勝利も、勝ち星は伸び悩んだ。ソフトバンク戦は5試合に登板して3勝1敗、防御率1.52と鷹キラーとして役割を発揮している。
イーグルス一筋13年、チームのために腕を振り続けてきた則本昂大投手が海外FA権の行使を表明。スペンサー・ハワード投手、ミゲル・ヤフーレ投手もわずか1年で退団となった。
しかし、今年のドラフト会議では、1位に花園大学・藤原聡大投手、2位に早稲田大学・伊藤樹投手、6位に第96回都市対抗野球大会で橋戸賞(最優秀選手賞)を受賞した王子・九谷瑠投手を獲得するなど、即戦力投手を複数獲得している。また、メジャー帰りの前田健太投手の加入も決まっている。来季は投手力のさらなる向上が見込まれる楽天、オープン戦からし烈なローテーション争いが見られそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)