宮城大弥に“志願”の弟子入り 覚醒間近の育成・宮國凌空「得られることが多い」

オリックス・宮國凌空【写真:加治屋友輝】
オリックス・宮國凌空【写真:加治屋友輝】

オリックス・育成の宮國凌空が宮城大弥に“志願”の弟子入り

 オリックスの育成・宮國凌空投手が故郷の先輩、宮城大弥投手が沖縄で行っている自主トレに“参加”させてもらっている。「今年は、宮城さんがトレーニングをしている施設を使わせていただけることになりました。キャッチボールなどを通して一緒に汗を流すことで、得られることが多いと思います」。帰省を前にした宮國が声を弾ませた。

 宮國は沖縄県宜野湾市出身。宮城も汗を流した「宜野湾ポニーズ」で本格的に野球を始め、東邦高(愛知)から2023年育成ドラフト3位で入団した。2年目の今季は、中継ぎと先発で18試合に登板。69回2/3回を投げて6勝3敗、防御率2.33と安定した成績を残し、平井正史投手コーチから「体も強く、今年1番成長した投手」と評価された。シーズン後に派遣された台湾ウインターリーグでは、先発で3試合に登板し、2勝0敗、防御率1.80。ストレートや得意のスライダーとは球速帯が違うチェンジアップを習得し、投球の幅を広げて帰国した。

 宮城との自主トレは、昨年からの願いだった。初めて迎えるオフ。どんな自主トレをしていいかわからない宮國が、シーズン中に球団施設の舞洲で先発に向けた調整でキャッチボールの相手をしていた宮城を頼るのは自然の流れだった。

 しかし、宮城からは「自分が動ける状態に持っていくための期間。自分がやりたいことだけをやって終わる自主トレだから」と、やんわりと断られた。地元の友人に手伝ってもらうが、基本的に1人での自主トレ。自分のペースで動きたいというのがその理由だった。

 ただ、宮國に伝えていない理由もあった。「まだ、僕はそこまで教えるレベルではありません。みなさん、すごい自主トレをやっていらっしゃいますが、僕はそんなにやってませんし。まだ僕自身に不安がありますから、教えられる立場になれば一緒にやりたいと思います」。宮國だけでなく後輩の若手投手から求められたアドバイスには、ボールの握り方や投げる感覚などを惜しみなく答える宮城だが、キャンプ前の体作りという重要な時期のトレーニングを一緒に行うという無責任なことはできないとの強い思いがあった。

宮城の秘密を探って“発見”…「頭の位置が常にブレないということでした」

 今回の自主トレは、宮國が12月28日から始動している宮城のトレーニング施設を訪れる形で実現し、正確には宮城と宮國が一緒に自主トレを行うとはいえないかもしれない。宮城も「年末から正月にかけて開いている施設は少ないので、ウエートトレーニングもできる僕が使っている施設を使ったらと声を掛けたんです」と一線は引く。それでも、宮國は「同じ場所でトレーニングをさせてもらえれば、キャッチボールなど練習のお手伝いもできますし、どのような自主トレをしているのか参考にもなります」と期待を込める。

 宮國にとって、同郷の宮城は常に大きな目標だった。ピッチングの一挙手一投足を注視する。制球良く投げ込む宮城の「再現性」の秘密を探ろうと、実際の投球や映像を見たこともあった。何度も見返すうちにわかったのは「頭の位置が常にブレないということでした」という。年末年始の自主トレでも、宮城の行動を凝視し何気ない言葉も聞き逃さず、支配下選手登録への参考にするつもりでいる。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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