山下舜平大、あえて求めない理想 復活のカギ握る“新球種”…秋に掴んだ手応え

山下が2026年に意気込み「勝ちをつけていける投手に」
オリックスの山下舜平大投手が、新球種の「スラッター」で初の2桁勝利と3季ぶりのリーグ優勝を目指す。「勝ち星はチームにとって一番、響くので2桁は勝ちたい。防御率も意識しつつ、勝ちをつけていけるような投手になれば優勝できると思います」。球団施設の舞洲で、山下が自信に満ちた表情で口を開いた。
年末に地元福岡に帰省し、元日の夜に帰阪。2日からトレーニング施設で汗を流し、4日には舞洲の室内練習場に一番乗りした。腰の怪我を防ぐために継続しているストレッチやキャッチボールの後、ブルペンへ。傾斜を使ってアシスタントスタッフの比屋根彰人さんを立たせて約10球を投げ込んだ。
成長に伴う腰痛などで、ここ3年のオフはリハビリに務めていたため、正月明けにブルペンに入るのは久しぶり。「感覚がよかったこともあるのですが、ずっといい状態を落とさずにきたんで。今年は早めに(体を)作るというより、ほかにやりたいことがあるのでいつでも投げられる状態にしておいて、あとは技術にいこうかなと思っています」と、初投げの狙いを明かした。
やりたいことの一つが、新球種の確立だ。最速161キロのストレートにパワーカーブ、フォークを武器にしてきたが、昨年11月の秋季キャンプからカットボールに取り組んでいる。「自分の変化球は遅い球が多いので、(直球との)中間球が欲しかったのでカットかなと。奥行きもできますし。曲がり過ぎてカーブに近付いても困るので、カットがちょうどいいかなと思ったんです」。
誰に教わったわけではなく、参考にした選手もいないが「曲がり球(を投げるの)は得意なんで」と言うだけあり、習得は早く、秋季キャンプ終盤の中日との練習試合で試投。外角へのボール気味のカットボールで空振りを取って打者を追い込み、直後のカーブで見逃し三振に仕留めた。「ボール球(のカット)でも体が突っ込み、カーブはのけぞってくれたので、意味のあるボールになりました」。意図した通りの打者の反応に、手応えを感じた瞬間だった。
「打たせて取るだけではなく、空振りも取れるボールにしたいですね」と話す山下が目指すのは、カットボールとスライダーの特徴を併せ持つ「スラッター」。ストレートに近い球速で外角に鋭く曲がり落ちる。カウント球にも決め球にもなる。
「そんな感じでもいいのかなと思っています。今の自分にない変化は生まれるので、理想は求めていません。回転数とか曲がりの早さとかは、打者の反応を見ながら。多分、曲がり球なら何を投げてもいいと思います」。完璧は求めず、球種が一つ増えることによる相乗効果に期待を込める。

少年野球時代の先輩・梶原大暉さんと2年ぶりに再会
新しいシーズンに向けて、パワーももらった。帰省中、2024年のパリ・パラリンピックで、バドミントン男子シングルスの金メダリストに輝いた梶原大暉さんと2年ぶりに再会。梶原さんは、少年野球「筑紫丘ファイターズ」時代の1年先輩。中学時代に交通事故で右膝から下を失ったが、車椅子バドミントンで世界を制するまでになった。
「一つ上の先輩は2人しかいなかったんで、距離は近く優しい先輩。何でもできる万能選手で、チームのスターでした。とんでもなく苦しい思いをされたと思います。自分にはその厳しさは分かりませんが、すごい人間力を持つ尊敬できる方です」と山下。頂点を極める難しさを知る2人が互いに健闘を誓った。
腰の故障を克服し、シーズンを通してチームの勝利に貢献する思いを新たにした“年男”山下の2026年の活躍に期待がかかる。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)