戦力外→育成落ちも「感謝して」 西武・奥村光一の覚悟…大補強も探す“生きる道”

西武・奥村光一【写真:小林靖】
西武・奥村光一【写真:小林靖】

昨年は1軍出場なしで出直しに

 西武3年目の奥村光一外野手が背水のシーズンに一発逆転シナリオを描いている。育成契約から出直しとなった26歳は、オフに桑原将志、林安可、アレクサンダー・カナリオらの大補強で最激戦区となった外野で存在をアピールし、晴れ舞台への復帰を目指すことになる。

 2023年の入団テストを経て育成6位でBCリーグ・群馬から入団。チーム事情もあり1年目の2024年6月に支配下登録されると、7月17日のオリックス戦でプロ初打点をマークし、お立ち台に。同年は1軍で45試合の出場機会を得た。1軍定着を目指した2025年はオープン戦を含め1軍出場はなし。10月に戦力外通告を受け100万円ダウンの年俸620万円(金額は推定)で再度育成契約を結んだ。

 キャンプインを6日後に控えた26日、奥村は本拠地のベルーナドームに隣接するカーミニーク・フィールドにいた。柘植世那捕手、蛭間拓哉外野手らとともにマシン打撃の輪に入った。その中で奥村の力強いライナー性の打球が左翼、左中間、中堅のフェンスを越えていく度に柘植、蛭間から称賛の声が挙がった。

 背水の育成再契約からまずは支配下昇格を目指し、分厚い外野のレギュラー争いに加わる道は険しい。奥村が選んだオフの重点強化策が筋力トレーニングだった。

 奥村は「オフは特に筋力強化“筋トレBIG3”を中心にやってきました。ベンチプレス、スクワット、デッドリフトの3種目です」と胸を張った。地元の静岡に東海大学時代から世話になっているパワーリフティングの選手がおり、頼み込んで緊急合同トレーニングを敢行。「マンツー(マン)で彼の自宅でトレーニングしていました。ベンチプレスが150キロ、デッドリフト255キロ、スクワットも255キロ、この冬になって上げられるようになりました」と声のトーンを上げた。

大補強の最激戦区でどう戦うのか

 この日は本人が「今日打っていても飛距離が出るようになった」というように、その“BIG3効果”をバットでひと振りごとに確かめた。奥村はジェットコースターのようにアップダウンが激しかったこの2年間を振り返りながら、背水のプロ3年目に賭ける思いをこう語った。

「1年目はすぐに支配下に上がれて、いいスタートが切れたと思っています。でも2年目はオープン戦を含めて1試合も1軍の試合に出られなかった。すごく悔しい気持ちでした。その中で、僕のこの年齢(26歳)で3年目に育成に落ちても契約してくれたというのは、球団も何か僕に期待している部分があると思うので、そのことに感謝して今シーズンは全力でやりたいなと思います」

 もちろん厳しい状況を理解した上で、2年ぶりとなる1軍昇格へのイメージも明確に描いている。

「(アピールするところは)もうバッティングですね。2軍で圧倒的な成績を残して、それで1軍の外野手との兼ね合いも当然あるんですけど、その中で『奥村を使ってみたい』と思われる成績を残してアピールしていきたい。ホームランは去年1本もファームでは打っていないですし、一昨年もファームで2本……。あまり大きいことは言えないんですけど、今までの数字は全て塗り替えてキャリアハイを目指していきたいと思います」

 春季キャンプは2軍(高知・春野)スタートとなるが「(ファームの実戦で)結果を残し続けて巡ってきたチャンスをしっかりつかみたい。そこを頑張りたいなと思います」と語る。思い描く逆転シナリオに向け、まずはしっかりその土台作りをしていくつもりだ。

◯著者プロフィール
伊藤順一(いとう・じゅんいち)
東京都生まれ、埼玉育ち。早大卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。整理部を経て野球担当。ヤクルト、西武、ロッテ、日本ハム、MLBなどを取材。2026年1月からFull-Count編集部に所属。

(伊藤順一 / Junichi Ito)

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