“柳田2世”の呼び声も…くすぶる逸材は「やりすぎ」 専門家指摘、拭えぬもどかしさ

キャンプで練習を行うソフトバンク・笹川吉康【写真:加治屋友輝】
キャンプで練習を行うソフトバンク・笹川吉康【写真:加治屋友輝】

鷹・笹川の打撃、現地でチェックした野口寿浩氏が解説

 フルスイングが持ち味の左の大砲候補に、厳しい指摘だ。ソフトバンクの笹川吉康外野手が宮崎春季キャンプ第3クール最終日の12日、フリー打撃を行ったものの精彩を欠いた内容に終わった。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、バックネット裏から状態をチェック。スイングの問題点を解説した。

「体ばかりを意識して振っている感じです。全身をあおって振っているから、バットが全然出てきていない。本来、右中間に打つ球に振り遅れたり、引っかけたり、すべてタイミングが合っていません。全身を使って振ることは大事ですけど、笹川の場合はやりすぎなんです」

 194センチ、97キロの恵まれた体でフルスイングし、豪快な打球をぶっ飛ばす様子から“ギータ2世”の異名を持つ。横浜商から2020年ドラフト2位で入団。2024年に1軍デビューしてプロ初本塁打を放ち、昨年は26試合に出場した。徐々に頭角を現してきたホープだが、まだまだ課題は多い。フリー打撃では打ち損じが目立った。

 野口氏は笹川が体調不良で第2クールを休んだ影響を考慮しつつ、打撃の基本に言及。「そもそも打撃はバットで球を打つもの。バットは手を使って振らないといけない。落合(博満)さんも言っていましたが、バットは手で持っているんだから、しっかり手で振らないといけません」。3冠王に3度輝いた大打者の名前を出して、バットの操作の重要性を説明した。

「バランス感覚をつかめれば簡単に打てるようになる」

 決してフルスイングすることが悪いわけではない。「体の中で手の力は弱い。足の力の方が強いし、下半身や体幹を使うことは大事です。手の力が弱いから、何とか体の力を使おうとするのは分かりますけど、弱いなりに手も使わないと打てません」。体と、バットを持つ腕のバランスが重要なのである。

「打撃投手の球でこの状況だと、試合になればなおさら打てません」。直後に登場した同じ左打ちの渡邉陸がスムーズなスイングでしっかりミートしている打撃を見た野口氏は「笹川もこれぐらいの感じでバットが振れればいい。パワーはあるのだから、バランス感覚をつかめれば簡単に打てるようになる」と今後の改善に期待を寄せた。

 打ち損じても、それなりに飛距離が出る。だから、気づけていない部分もあると野口氏は感じている。「しっかり捉え切れていないのに、これだけの打球を打てているのだから……」。どうしても、もどかしさが残る。それは期待しているからこその思いだ。

 フルスイングも大事だが、腕をしっかり使うことも大事。飛躍の鍵は、その折り合いをどこでつけるかにかかっている。そのポイントを見つけた時、“2世”という異名ではなく、笹川の名前をとどろかせる可能性が膨らんでくるはずだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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