仲間に慕われたエンターテイナー 森本稀哲が引き際に見せたピュアな思い
数々のコスプレ、派手な振る舞いの裏で忘れなかった野球の本質
今季限りで引退する西武森本稀哲は球界屈指のパフォーマーだった。04年のストライキ明け初戦の練習で新庄剛志らと「秘密戦隊ゴレンジャー」の仮面をつけて登場したのが、エンターテイナーとしての始まりだったと言っていい。
06年のオールスターでは人気漫画「ドラゴンボール」のピッコロに変装し、07年のゴールデングラブ賞授賞式では上下赤のレザーファッションでマイケル・ジャクソンに扮した。10年オフ、横浜・中華街の媽祖廟(まそびょう)での横浜(現DeNA)入団会見では「キン肉マン」のラーメンマンのコスプレで登場した。
派手な振る舞いが目立ったが、本質は見失っていなかった。
「ピッコロをやった後にホテルで新庄さんとニュースを見ていたんです。『どれぐらいやるんだろう』と楽しみにしていたら、一瞬で終わった。『え、これだけ? オレはメディアにあまり取り上げられないんだなぁ』と思っていたら、後半戦に入ってヒットを打ったり、ホームランを打った時に、あの映像をまた使ったんです。ここまでしないと取り上げてもらえない、というのは勉強になりました」