源田壮亮に苦言「あのやり方はどうなのか」 致命傷の可能性…左腕vs.左打者だから生まれた“落とし穴”

送りバントを試みる源田壮亮【写真:小林靖】送りバントを試みる源田壮亮【写真:小林靖】

新井宏昌氏が見た“勝負を左右しかねないワンプレー”

 重要な局面での“失敗”に、犠打の名手が疑問を呈した。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇を目指す野球日本代表「侍ジャパン」の源田壮亮内野手が2月28日、バンテリンドームで行われた中日との強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2026 名古屋」に「8番・遊撃」で出場。第2打席で送りバントを2球続けてファウルにしてしまうシーンがあった。

 1点を勝ち越された直後の5回無死一、二塁。源田は初球の真ん中付近の直球に対し、セーフティ気味に送りバントを試みたがファウルに。続く2球目の内角直球もセーフティ気味にバントしてファウル。追い込まれて強攻策に切り替えたが走者を送ることができず、最後は空振り三振に倒れた。

 一発勝負のWBCでは致命傷になりかねないミス。現役時代に通算2038安打をマークした野球評論家・新井宏昌氏は、セーフティバントのサインだった可能性も考慮した上で、首をかしげた。

「もし送りバントのサインが出ていたのなら、あのバントのやり方はどうなのか。良くない感じがします」

 試合は中盤。本番のWBCでも、どうしても1点が欲しい場面は訪れるだろう。「劣勢ですから、あの場面は普通に考えたら自分が生きようとしなくていい。2人走者がいるから、確実に送ることができれば、次の打者のヒットで逆転できる。ですから自分が生きる必要はないんです」。

 前回大会で世界一に貢献した33歳の源田と同じ左打者で、歴代8位の通算300犠打を記録した新井氏は「自分が生きようとする時と、確実に送らないといけない時とでは、明らかに形が違う」と説明。「左打者は自分が生きようとすると、体が開いてしまうのでファウルになる確率が高くなります」と続けた。

バントを2球続けてファウルにしてしまう源田壮亮【写真:加治屋友輝】バントを2球続けてファウルにしてしまう源田壮亮【写真:加治屋友輝】

緻密な野球で世界をリードしてきた日本、ひとつのミスも許されぬWBC

 送りバントなどの小技は、日本人がこれまで得意としてきた戦術の1つでもある。「これまでのジャパンの戦いでは、大事な場面ではほとんど成功していたと思います」。緻密な野球で世界をリードしてきただけに、納得がいかないのだ。

 中日のマウンドにいたのは左腕の三浦。左投手相手だと「うまく転がせば自分も生きることができると考えてしまう状況が起きやすい」という。投球後、左投手は一塁側に体が傾くことが多く、三塁側へのスタートが少し遅れてしまうケースが出てくる。

「三塁側にうまく転がせば、三塁手が捕るのか投手が捕るのか難しくなる。『自分も生きてやろう』と、スケベ根性が出てしまうケースがあるんです」

 今回の源田はどうだったのか。強化試合の段階であり、いろいろ試した可能性もある。「セーフティ気味にいっていいというサインだったら、あの形でもいい」とした上で「もし送りバントのサインだったら、源田選手のやり方はどうなのかな、考える必要があるのかなというところです」と指摘した。

 2度目の連覇を目指すWBCでは失敗は許されない。本番で勝敗を左右する局面なら「監督が本人に直接、はっきりと伝えると思います。あるいは打撃コーチが言うでしょう。選手に『確実にやってくれ』と伝えると思います」と予測。「本番で1点差で負けていてバントのサインが出れば、もっといい形でバントする必要がある」と強調した。

「本番になれば、送りバントで体が開いて一塁の方に早く向かう形を見せてはいけない。まずはいいバントをしてから走る。いいバントをすることが先決です。自分が一塁に走ることは二の次なんです」

 安打製造機でありながら犠打の名手でもあった新井氏の言葉だけに説得力がある。厳しい戦いになればなるほど、1点を奪うために訪れる可能性が高くなる送りバント。心構えと、実際の構え方が成功の鍵を握っている。

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