まだ29歳でチェコ代表引退…サトリアの「最も大切なこと」 野球以外の競技も「もっと上手くなりたい」

  • 上野明洸
    上野明洸 2026.03.10
  • 海外
チェコ代表のオンジェイ・サトリア【写真:荒川祐史】チェコ代表のオンジェイ・サトリア【写真:荒川祐史】

日本のマウンドに帰ってきたサトリア、チェコ代表は今大会が最後

 チェコ代表として第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したオンジェイ・サトリア投手は、今大会限りで代表チームから退く。前回大会で話題になった右腕はまだ29歳だが、なぜ決断を下したのか。

 2月20日、たっぷりの髭を蓄え、また日本に帰ってきた。

「私たちの国はよく似ていると思うので、また家に帰ってきたような気分だね」

 2023年のWBCでは、1次ラウンドの日本戦(東京ドーム)に先発。120キロ前後の直球とチェンジアップ、カーブを組み合わせ、初回はヌートバーと近藤から三振を奪取。3番・大谷も一ゴロに打ち取った。大谷の第2打席ではチェンジアップで空振り三振に仕留め、“大谷から三振を奪った男”として、サトリアの名は一気に広まった。

「あの瞬間はまだイニングの2アウト目だったから、次の打者に集中しなきゃならなかった。ただ、野球人生で最高の出来事だったのは事実。おかげで私だけでなく、チェコの野球界全体が世界的に少し有名になれたことが一番重要だと思ってるよ」

 サトリアは現在29歳、まだまだこれからという時期ではあるが、チェコ代表として戦うのは今回が最後だと決めている。理由は明確だった。

チェンジアップの握りを見せるサトリア【写真:上野明洸】チェンジアップの握りを見せるサトリア【写真:上野明洸】

代表引退を決めた理由「私にとって最も大切」

 前回大会を終えた後、サトリア一家に家族が増えた。「一番の理由は家族だよ。それが私にとって最も大切なことだからね」。2歳の息子らと過ごす時間を増やしたいという。

「あとは、ボルダリングとか他のアクティビティもやっているから、野球のキャリアを終えた後はそっちをもっと上手くなりたいと思っているんだ」

 サトリアはサッカー、ボルダリング、ハイキングも趣味。雨の降った2月25日には、サッカーボールを抱えて室内練習場に登場。チェコでは野球よりも圧倒的にサッカーが人気で、練習前にはチームメート5、6人でリフティングしてリラックス。サトリアは投球術だけでなく足技も巧みだった。

 室内練習場には簡易的なボルダリングの壁も設置されており、練習後には楽しそうに腕前を披露していた。

6日の豪州戦では3回⅔を投げて3奪三振無失点の好投【写真:荒川祐史】6日の豪州戦では3回⅔を投げて3奪三振無失点の好投【写真:荒川祐史】

 チェコは、プールC最終戦となる10日に侍ジャパンとの試合が組まれている。「特定の誰かというより、NPBをよく見ているので、日本の打線はよく知っています。誰と対戦するのも楽しみです」。中でも宮城大弥投手は、前回大会後にユニホームを交換した仲で、ピッチングスタイルも参考にしている。

 NPBの試合も日々チェックする。「特に好きなのはオリックス・バファローズで、よく映像を見ています。宮城がいるからね。日本に来た際、彼らの試合に招待してもらったのがきっかけです」。サトリアは2015年のU-18W杯で来日。舞洲で日本代表とも試合をしていたが、その際に京セラドームにも訪れていた。

「これは最大の国際舞台だし、チェコの若い選手たちにとっては大きなモチベーションになる。チェコ代表で10年過ごしましたし、若い選手たちに道を譲る時だと思っています」

 代表のユニホームも、これで最後。名を馳せた日本のマウンドで、次世代へと最高のバトンを繋ぐ。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

RECOMMEND