ド派手なイメージに隠れた“謙虚な素顔” 体現してきた父の教え…タティスJr.の根幹にある「成功への近道」

  • 佐藤直子 2026.03.12
  • MLB
走攻守の三拍子が揃ったスーパースター、フェルナンド・タティスJr【写真:ロイター】走攻守の三拍子が揃ったスーパースター、フェルナンド・タティスJr【写真:ロイター】

父はメジャー13年で5球団に所属…ドミニカ共和国コーチとして親子鷹出場

 優勝候補筆頭のドミニカ共和国代表で、不動の1番打者として強力打線の先陣を切るのが、フェルナンド・タティスJr.外野手だ。走攻守の三拍子が揃ったスーパースターは、抜群のファッションセンスも相まって、姿を現すだけで大歓声が巻き起こる。それでも決して有頂天にはならず、素顔は実に謙虚な青年だ。今大会でも大活躍を続ける姿をベンチコーチとして見守るのが、父であり、元MLB選手のフェルナンド・タティスだ。

 現役時代、主に三塁手として活躍した父は守備の名手として知られた存在。レンジャーズでデビューし、メッツで幕を下ろすまで、メジャー13年のキャリアを送った。少しやんちゃなイメージはあったが、決して大騒ぎするタイプではない。5チームを渡り歩いたが、どのチームでも“いると嬉しい頼れる存在”だった。

 実は、父タティスの父、つまりタティスJr.の祖父もまた、野球選手だった。内野手としてアストロズ傘下マイナーでプレー。タティスJr.も元々は遊撃手であったことを考えると、祖父から3代続くDNAなのかもしれない。

タティスJr.の父・フェルナンド・タティス【写真:佐藤直子】タティスJr.の父・フェルナンド・タティス【写真:佐藤直子】

 引退後は、レッドソックス傘下マイナーやメキシコリーグで監督を務めるなど指導者の道を歩む父にとって「ドミニカ共和国を代表するチームの一員としてWBCに参加できることは何より名誉なこと」だと胸を張る。ましてや息子と一緒に出場となれば「こんな夢のようなことはない」。そう微笑む顔は、ベンチコーチとしてではなく父としてのもの。ダグアウトではポーカーフェイスを貫くが、嬉しいものはやっぱり嬉しい。

スーパースターの息子に伝えてきた大切な教えとは…

 息子がここまでの人気選手となったのは、「彼のプレースタイル、そしてここまで残してきた成績を、ファンが評価してくれたのだろう」と分析する。「バッティング、守備や送球、走塁、その全ての取り組み方やプレースタイルを、ファンは認めてくれた。ありがたい話だ」と話すが、幼い頃から息子に言い続けてきたことは技術的な話ではないという。

 父が息子に伝えてきた最も大切な教え、それは「全てのものに対してリスペクトを忘れないこと」だ。

「野球というスポーツに対するリスペクトを忘れず、真摯に向き合うこと。他の選手たちに対するリスペクト、ファンに対するリスペクト、野球に集中できる環境に対するリスペクト、そしてルールに対するリスペクト。全てのものに対するリスペクトが成功への近道だと思うんだ」

サングラス姿で会見するフェルナンド・タティスJr【写真:佐藤直子】サングラス姿で会見するフェルナンド・タティスJr【写真:佐藤直子】

 その教えが間違いではないことは、今、息子がしっかり証明してくれている。

 ここまでドミニカ共和国が見せてきた快進撃について、ベンチコーチとして「文句の付けようがない。試合を重ねるごとにチームとしての絆を深めているし、もっともっと良くなる余地がある」と断言。準々決勝はプールCを勝ち抜いてきた日本か韓国が相手となるが「どちらと対戦することになっても構わない。自分たちの野球をするだけだ」と不敵に笑う。

 息子と目指す世界の頂点。一緒に戦える偶然に感謝しながら、一つ一つ勝利を重ねていく。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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