米国代表は「ドライだった」 専門家が感じた南米との差…指摘した優勝候補の“慢心”

野球評論家・武田一浩氏、ベネズエラ投手陣は「全部よかった」
■ベネズエラ 3ー2 米国(日本時間18日・マイアミ)
第6回ワールドベースボールクラシック(WBC)決勝は17日(日本時間18日)、米フロリダ州マイアミのローンデポパークで行われ、ベネズエラが米国を3-2で下して初優勝を飾った。アーロン・ジャッジ外野手が主将を務め「史上最強軍団」とも言われた米国は2大会連続の準優勝に終わったが、いったい何が足りなかったのか――。NPB通算89勝をマークした右腕でMLB中継の解説も務める野球評論家・武田一浩氏が分析した。
「ベネズエラが強かった。ピッチャーがよかった。(先発の)ロドリゲスなんて、これまでにあんないいピッチング、見たことがなかったですからね。かなり気持ちが入っていたんじゃないかな。あまり彼は表情に出ないんだけど、今日は気合が入って投げていましたね」。武田氏は米国について語る前にまず、先発して4回1/3、1安打無失点投球で米国の強力打線を封じ込めたベネズエラの左腕・ロドリゲスをたたえた。「下馬評ではベネズエラの投手陣はどうなんだろうって言われていたけど、リリーフピッチャーも全部よかった。もちろん、だから優勝できたんでしょうけどね」。
米国は2点を追う8回2死一塁からハーパーが同点2ランを放ち、意地を見せたが、ベネズエラは9回に四球と盗塁で無死二塁として4番・スアレスの適時二塁打で勝ち越し、最後はクローザーのパレンシアが打者3人でピシャリと締めた。足を絡めた見事なベネズエラの攻撃についても武田氏は「日本が何回も優勝して、そういうスタイルでやっているのはみんな知っているわけだから、そこを取り入れているんだと思う。とにかくベネズエラが強かったんですよ」と、さらに強調した。
その上で米国の敗因についてはこう話した。「(2024年、2025年の2年連続サイ・ヤング賞の)スクーバルが(決勝で)投げれば、また違ったのかもしれないが、時期的な規制もあるのでWBCは難しいですよね。でもどうでしょう。アメリカにはいい選手がたくさんいたし、ドミニカ(共和国)には(準決勝で)勝ったけど、一体感は南米の方にあったように見えた。アメリカの選手を見ていると何かドライな感じがしました」。

ベネズエラとは「チームワーク的な差があった」
1次ラウンドのイタリア戦試合前に、まだ突破は決まっていなかったのに「すでに準々決勝進出は決まっていますが、それでもこの試合に勝ちたいと思います」とデローサ監督が“失言”したり、今大会の米国はグラウンド外のことも話題になった。武田氏は「そういうのは、選手たちは何とも思っていないと思いますけどね」と話しながらも「やっぱり勝てると思って戦っていたのではないか。何か必死さを感じなかった。チャレンジャーっぽくなかった。一発勝負はあまりしたことがないから、10試合やったら俺らが勝つよ、みたいな感じがあるんじゃないかな」とも指摘した。
3番・ジャッジ、4番・シュワーバーの米国が誇る主軸打者が、この日はいずれも3三振。「(8回に同点2ランを放った2番打者の)ハーパーはさすがだったけどね。(ベネズエラ5番手のマチャドが)ストライクが入らなかったので、やばいなと思ったらチェンジアップが抜けて、それをホームラン。でも、その後のジャッジは三振。まぁ、負ける時はそんなものなんですけど、それにしてもジャッジはあっさりだったなっていう感じでしたね。もちろん、いいピッチャーが相手だからなかなか打てないとは思うけど……。だから何て言うか、ちょっとチームワーク的な差があったのかなと。そういう風には見えましたね」。
クローザーのミラーを所属球団パドレスからの要望でセーブシチュエーション以外では使えなかったなど、9回に勝ち越されたシーンには投手起用でやむを得ない事情もあったとはいえ「史上最強軍団」と言われながらのV逸は米国にとっては屈辱だろう。「アメリカは、次の大会は絶対優勝しなきゃって思うだろうね。そうじゃないと野球大国としてはまずいんじゃないかな」と武田氏もうなずく。WBC決勝でベネズエラに力負けした米国の「史上最強」を超える“逆襲”が注目される。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)