16年ぶりの甲子園も…帝京が戦った“見えない敵” 名門の看板と重圧「常にあった」

中京大中京に敗れ涙する帝京の選手たち【写真:加治屋友輝】
中京大中京に敗れ涙する帝京の選手たち【写真:加治屋友輝】

名門の看板がもたらした想像を絶する重み

 伝統校ゆえの重圧は、確かにあった。第98回選抜高校野球大会は24日、甲子園で大会第6日が行われ、帝京(東京)が中京大中京(愛知)と対戦。一時は4点のビハインドから同点に追いつく粘りを見せたが、延長10回タイブレークの末に4-9で敗れた。金田優哉監督は「本当に悔しい気持ちしかない。なんとか勝たせてあげたかった」と唇を噛んだ。

 序盤から失点を重ね、中盤まで4点を先行される苦しい展開。しかし5回、無死満塁の好機で池田大和内野手(3年)の犠飛や目代龍之介外野手(2年)の2点適時二塁打などで、一挙4点を奪い、執念の同点劇を見せた。その後は両校無得点でもつれ込んだタイブレークの延長10回、無死満塁のピンチから、適時打や走者一掃の二塁打などで5点を奪われ、力尽きた。

 帝京といえば、春夏合わせて通算3度の全国制覇を誇り、数多くのプロ野球選手を輩出してきた名門だ。それでも近年は遠い聖地。今大会は実に16年ぶりの“帰還”となった。偉大な先輩たちが築き上げた歴史と、周囲からの「強い帝京」の復活を待ち望む声は、選手や監督たちにとって想像を絶する重みとなっていた。

「そんなことは言っていられないですが、重圧は常にありました。それ以上に、選手たちが頼もしく戦ってくれました」

 試合には敗れたが、指揮官は選手を称えた。序盤は劣勢を強いられながらも中京大中京に食らいつき、執念で同点に追いついた底力は、重圧の中で得ることができた大きな収穫だ。見えないプレッシャーに押し潰されることなく、聖地で意地をみせた経験は、チームにとって確かな財産となる。

 一方で、高いレベルの舞台だからこそ、見えた課題もある。「好投手を打つ練習はしているけど、打てなかった。夏までの課題です。東京都の投手たちを、打っていかないと簡単には甲子園に戻ってこれない」。

 16年ぶりに時計の針を動かした春。伝統校の重圧を背負い、全国トップレベルとの激闘を経験した帝京ナインは、この悔しさを糧に、さらに逞しさを増して夏に戻ってくる。

(岡部直樹 / Naoki Okabe)

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