智弁学園、全国制覇のカギは天候? 指揮官が本音…“消える”143球が秘めた可能性

準決勝の中京大中京戦で完投した智弁学園・杉本真滉【写真:加治屋友輝】
準決勝の中京大中京戦で完投した智弁学園・杉本真滉【写真:加治屋友輝】

「1週間500球」1日ずれ込めば2回戦の143球が“消える”

 第98回選抜高校野球大会は、31日に予定されている決勝で、智弁学園(奈良)と大阪桐蔭が全国制覇をかけて戦う。天気が心配されるなか、2016年以来2度目の優勝を狙う智弁学園にとっては、絶対的エースの最速149キロ左腕・杉本真滉(まひろ)投手(3年)の球数制限を考えると、雨天順延となった方が有利に働きそうな事情がある。

 智弁学園の小坂将商(まさあき)監督は29日、中京大中京(愛知)との準決勝の試合前に行われた会見の時点で、「火曜日(31日)は雨が降ることを祈っています」と本音を漏らしていた。実際、29日の時点で、31日の未明から午後2時頃にかけて、甲子園球場周辺に時おり強く雨が降る予報が出ていた。

 無理もない。今大会の杉本は全4試合に登板し、計35イニング2失点(自責点1)で防御率0.26と無双。25日の神村学園(鹿児島)との2回戦で延長10回を完投(1失点、自責点0)し137球、27日の花咲徳栄(埼玉)との準々決勝では7回無失点で89球、中京大中京との準決勝でも9回完投で143球を投げている。高校野球には「1週間500球」の球数制限があり、31日の決勝では131球が限度。先発しても完投できるか微妙なところだ。

 ただ雨天順延となり、決勝が4月1日以降にずれ込めば、25日の神村学園戦での143球はカウント外。残りは274球となり、ほぼ球数を気にする必要がなくなるのだ。

 今大会の智弁学園は田川璃空投手(3年)が先発した準々決勝・花咲徳栄戦で、2回表まで0-8の惨敗ムードだったが、その裏に1点を返し、3回から杉本が救援でマウンドに上がると、がらりと雰囲気が変わり、結局12-8の大逆転勝ちを収めた。杉本がどれだけ投げられるかは、決勝の勝敗に大きく関わりそうだ。

智弁学園・小坂将商監督【写真:加治屋友輝】
智弁学園・小坂将商監督【写真:加治屋友輝】

2016年選抜で活躍した現阪神・村上頌樹に「よく似ている」

 高校野球の球数制限は2020年から試行され、2025年から正式ルールとなった。導入前の2016年、智弁学園が選抜で春夏を通じ初の全国優勝を成し遂げた際には、エースの村上頌樹投手(現阪神)が全5試合を1人で投げ抜いた。特に決勝では延長11回を160球1失点完投、打ってはサヨナラ二塁打を放つ大車輪の働きだった。

 小坂監督は「(村上と杉本は)よく似ていると思います。トレーニングには孤独に黙々と取り組みますし、タフさも共通しています」と評価する。

 杉本は1年生だった一昨年の夏の甲子園でも、最終的に優勝した京都国際との準々決勝に先発し、2回1/3を無失点に抑えたが、チームは0-4の零封負けを喫した。小坂監督は「1年生の夏から投げている分、しっかりしないといけないと本人が一番よくわかっています。(当時ベンチ入りしていた)志村(叶大内野手=3年)もそうで、あの2人がしっかりしてきたので、頑張ってくれると思います」と全幅の信頼を置いている。

 果たして、甲子園の天候は智弁学園を後押しするのか……。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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