77歳老将の衰えぬ頂点への思い 引き際は「楽しくなくなったら」…往復2時間通勤も苦にせず

茨城出身で竜ケ崎一、藤代、常総学院の監督を歴任し、2008年から現職
第98回選抜高校野球大会で、専大松戸(千葉)は29日に行われた大阪桐蔭との準決勝に2-3で惜敗。今大会中に77歳11か月で選抜最高齢勝利監督の記録を更新した持丸修一監督は、監督生活初の全国制覇を射程圏内にとらえていたが、春夏通算9度の優勝経験を誇る大阪桐蔭に一歩及ばなかった。
準決勝に進出した4校のうち、専大松戸以外の大阪桐蔭(春4度、夏5度)、智弁学園(春1度)、中京大中京(春4度、夏7度)はいずれも過去に優勝経験があった。持丸監督は「ウチだけ優勝経験がない中で、なんとか頑張ってみようと思っていたのですが……子どもたちは勝ちたかったと思うので、なんとかしてやりたかった」と苦笑した。
「後手、後手になっちゃった。もうちょっと勇気を与えてあげられたら、もっといいゲームができたのかなという気がして、それが残念です」。持丸監督がそう振り返る通り、初回に一塁手のタイムリーエラーで先制点を許し、4回の攻撃では9番打者・長谷川大納外野手(3年)が高いバウンドの適時内野安打を放って同点に追いついたが、7回に突き放された。
8回の攻撃では、1死から二塁走者の吉岡伸太朗捕手(3年)が相手の不意を衝いて三盗を成功させ、苅部礼翔内野手(2年)の左越え適時二塁打で再び追いつく粘りを見せた。それでも、その裏の守備で1死三塁から内野ゴロの間に決勝点を奪われた。
「経験の差なんですかね……しっかり捕れる打球を捕れなかったり、逆に捕れないような打球を捕られたりね」と大阪桐蔭の底力を痛感。「何回もこういう経験をして、頂点に立てるようにしてもらいたいです」と吐露した。
持丸監督は茨城県出身で、母校の竜ケ崎一、藤代、常総学院の監督を歴任し、全て甲子園出場に導いた。2008年に甲子園未出場だった専大松戸の監督に就任し、ここでも春3度・夏3度“聖地”に導いてきた。2023年春にベスト8入りを果たし、今大会で過去最高を上回る準決勝まで駒を進めた。

「子どもたちの気力、楽しさに釣られてグラウンドに行くのが楽しい」
4月17日には78歳となる。残る標的は全国制覇以外にないだろう。持丸監督自身「悔しいまま終わりにしたくない」と本音が漏れる。
「子どもらがいるからこそ、グラウンドに立つ勇気を持てる。子どもたちの気力、楽しさに釣られて、グラウンドに行くのが楽しいです」と選手たちへの感謝を口にし、「楽しくなくなったら、辞めるべきでしょうね」と付け加えた。
いまだに毎日、茨城県取手市の自宅から千葉県松戸市のグラウンドまで、車で往復2時間の道のりを運転し通勤している。健康法を聞くと、「散歩とか食事よりも、希望を持つことではないでしょうか。何でもいいし、1つでいいから、希望を持って生きていければと思います」という答えが返ってきた。
「こういう舞台をどんどん踏んでいければ、(全国制覇が)近づくと思いますし、踏めなければ遠いまま終わってしまうと思います」と述懐した老将。今年の夏にもう1度、勝負をかける。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)