「荷物を持て」海外で直面した“上下関係” 挫折、落胆…それでも捨てなかったプロの夢

富邦ガーディアンズ・鈴木駿輔【写真:球団提供】
富邦ガーディアンズ・鈴木駿輔【写真:球団提供】

CPBLでプレーする鈴木駿輔投手

 一度は台湾を離れ、帰国も考えた。それでも夢を捨てることはできなかった。台湾プロ野球(CPBL)の富邦ガーディアンズでプレーする鈴木駿輔投手は、台湾社会人チームでの苦しい日々を乗り越え、再びプロの舞台に立った。

 ルートインBCリーグの福島レッドホープス、信濃グランセローズで活躍した後、2024年に台湾へ渡り、楽天モンキーズに入団した。しかしシーズン途中、外国人登録期限前に登録抹消。8月に退団することになった。その後は台湾の社会人チームでプレーしながら、再びプロの舞台を目指す日々を送った。

「プロとアマチュアでは環境が全く違いました。チーム内もですが、外国人の中でも上下関係があって、すごくきつい部分がありました。プロより社会人の方が上下関係が厳しかったです。『荷物を持て』とかそういう選手もいたので、そこが一番悔しかったです。『もう日本に帰ってもいいかな』って思うぐらい、落ち込んだときもありました」

 すでにCPBLの舞台を経験していた鈴木にとって、社会人チームとの環境の差は大きかった。選手の多くが仕事をしながら野球を続けているため、「プロと比べて高い志を持っている人が少ない」と感じることもあったという。それでも現地に残った理由はただ一つだった。「もう1回やれば絶対に結果を残せると思っていました。その目標を失わなかったから、もう一度プロの舞台を目指すことができたと思います」。そして2025年5月、富邦ガーディアンズに入団。再びプロのマウンドに戻ってきた。

 富邦ガーディアンズでは2軍からのスタートだった。だが、その投球は圧倒的だった。2軍では8試合に登板し5勝をマーク。39回を投げて無失点というCPBL2軍の無失点記録を更新した。その活躍が評価され、1軍に昇格すると5試合に先発し2勝、防御率2.51を記録した。

台湾で得たハングリー精神「人生変わった年」

「2025年の1年間は、自分にとっても人生が変わった年でした。本当にやってきて良かったなって思いました。台湾で社会人野球も経験したことで、日本にいるときよりハングリー精神が身につき、精神面も大きく変わったと思います」

 昨年オフには、福島・聖光学院高の先輩にあたる巨人の船迫大雅投手と自主トレを行った。

「日本で球団を背負っている方は、年齢や立場関係なく接してくれて、かっこいいなと思いました。やっぱり一度は日本のドラフトで名前を呼ばれて、同じ舞台に立ちたいと思いました。その夢があるからこそ、今、野球を頑張れていると思います」

 社会人チームで味わった屈辱、プロへの再挑戦、そして台湾での復活。胸の奥にある変わらない夢を追い続け、27歳の右腕は異国のマウンドに立ち続ける。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

RECOMMEND