死球で謝らないMLBの慣習も…大谷翔平の“謝罪”が与えた影響 155キロ直撃の24歳が感銘「素晴らしい野球文化」

ガーディアンズのアンヘル・マルティネスへ死球を投じ、頭を抱え込む大谷翔平【写真:荒川祐史】ガーディアンズのアンヘル・マルティネスへ死球を投じ、頭を抱え込む大谷翔平【写真:荒川祐史】

大谷の155キロを左膝に受けたマルティネス「かなりヤバいことになると思った」

 一夜明けてもズキズキと痛む。それでも、ガーディアンズのアンヘル・マルティネス外野手は1日(日本時間2日)の練習後、自ら歩み寄ってきた。

「治療はもちろん受けたよ。少し痛みがあるけど、プレーには問題ないさ」。患部の左膝を見つめ、メジャー3年目の24歳は気丈に胸を張った。

 前日3月31日(同4月1日)。ロサンゼルスでは珍しく雨が降る中で、ドジャース-ガーディアンズ戦が行われた。マルティネスを悲劇が襲ったのは、5回2死の第2打席。大谷翔平投手が右手指先で引っ掛けた96.4マイル(約155.1キロ)が、もろに左膝に直撃した。

大谷から死球を受け、倒れ込んで悶絶するマルティネス【写真:荒川祐史】大谷から死球を受け、倒れ込んで悶絶するガーディアンズのアンヘル・マルティネス【写真:荒川祐史】

「正直に言って、かなりヤバいことになると思った」。マルティネスは左打席内に倒れ込んで悶絶。スティーブン・ボート監督や球団トレーナーが慌てて駆けつけたが、しばらく動くこともできなかった。

 マウンドにいた大谷はというと、当たった瞬間に頭を抱え込んだ。グラウンドに倒れるマルティネスを見つめ、天を仰いで心配そうな表情に。その後はポンと右拳でグラブを叩き、剛速球を当ててしまった自身へイライラしているような様子も見せた。

 なんとか立ち上がったマルティネスはプレー続行した。続くクワンの中飛で攻守交代。その時だ。大谷は三塁ベースを回ってきた一塁走者・マルティネスに近寄って声をかけた。左膝は大丈夫か――。マルティネスは、この謝罪を好意的に受け取ったという。

メジャーでは珍しい謝意は「とても素晴らしい野球文化だと思う」

「オオタニが、わざと死球を当てたわけではないと分かっている。死球は、野球ではよくあることだよ。ただ、コントロールミスしただけでしょう。ただ、僕にとっては運が悪かったね(笑)」

「彼のことを個人的に深く知っているわけではないけど、SNSなどで見ている限り、本当にナイスガイだ。だから、コントロールミスをして膝に当ててしまったことに対して、自分に腹を立てていたとしても驚きもない。でも、オオタニは本当にいい奴なんだろうね」

 プロ野球など日本球界では死球を当てた投手が帽子を取るなど謝罪するが、メジャーリーグでは死球で投手が謝らないのが文化となっている。謝罪は逆に「故意死球」を認めたと誤解される可能性があるため、平然とするのが一般的だ。

 大谷は今季でメジャー9年目。米球界の文化にどっぷり染まってもいいはずだが、日本ハム時代から変わらぬ姿勢を見せた。マルティネスは、こう語った。

「わざとではないと分かっていても、オオタニのように謝罪してくれるのは、とても素晴らしい野球文化だと思う。それこそ真剣勝負の野球だよ」

 大谷が見せた謝罪。ドミニカ共和国出身の24歳は日本の野球文化に感動しているようだった。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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