U18侍合宿に現れた“秘密兵器” 選抜出場ならずも…世界一奪回へ見逃せぬトップ数値

岡田監督が掲げる「スモールベースボール」を体現できる素材
世代を代表するスピードスター候補として名乗りを上げた。侍ジャパンU-18(18歳以下)代表候補選手強化合宿が3日から5日までの3日間、奈良県内で行われ、“選抜不出場組”ながら報徳学園(兵庫)、中尾勇貴外野手(3年)が脚光を浴びた。
今回の強化合宿には高校生41選手が参加。合宿メンバーに入らなかった選手を含めた中から、最終的に18人が厳選され、9月に台湾で行われる「BFA U18アジア選手権」に挑むことになっている。
最近のU-18代表は、一昨年のアジア選手権、昨年のWBSC U-18野球ワールドカップでいずれも決勝で敗れ2位。今年は岡田龍生監督(兵庫・東洋大姫路監督)の下で、念願の優勝に照準を合わせている。
岡田監督は「昨年のU-18ワールドカップで、日本の本塁打は9試合で1本しか出ませんでした(鹿児島・神村学園の今岡拓夢内野手=現西武・育成=がオープニングラウンド・南アフリカ戦で放った2ラン)。粘って出塁することができて、セーフティバントや足を使える子が最終的に活躍しました」との認識を示した。その上で「今年も韓国や台湾に150キロ以上を投げる投手が複数いると聞いていますので、簡単には打てないと思います。走ることや守ることを意識して、スモールベースボールをやっていけたらと思います」と戦略の一端を明かす。
そんな指揮官の理想に合いそうなのが、左投左打の中尾だ。合宿2日目のシート打撃で、横浜(神奈川)の右腕・池田聖摩選手(3年)から左中間を破る打球を放つと、快足を飛ばし三塁を陥れた。その後、セーフティバントを決めるシーンもあった。
岡田監督は「今回の参加選手で1番足が速いのは、中尾かなと思います」と評価。川崎絢平コーチ(大分・明豊監督)も「シート打撃で、各選手が打ってから一塁へ到達するまでのタイムを計測しました。三振に倒れた選手やフライを打ち上げた選手もいたので、全選手のデータを取れたわけではありませんが、計測できた中で1番速かったのは、セーフティバントを決めた時の中尾。3秒6でした」と証言する。
50メートル5秒8、一塁到達は「3秒台がアベレージ」の快足
中尾自身「足が自分の最大の持ち味だと思っています。50メートルのタイムは5秒8くらいで、足の速い選手は報徳にも他に結構いますが、一塁到達は3秒台がアベレージで、誰にも負けたくないと思っています」と力を込める。
小6の2020年には阪神タイガースジュニアに選出され、年末の12球団ジュニアトーナメントに出場。「自分は地元が兵庫で子どもの頃から阪神タイガースを応援してきたので、近本(光司)選手の守備、走塁、バッティングは凄いな、ああいう選手になりたいなと憧れてきました」と瞳を輝かせる。
報徳学園では主に「3番・中堅」としてチームを牽引し、投手としてマウンドに上がることもある。昨秋の兵庫県大会・準々決勝で、岡田監督が率いる東洋大姫路に敗れ、今年の選抜大会出場の可能性を断たれたが、今回の合宿で改めてポテンシャルの高さを実証した格好だ。
勝負の夏へ向け、U-18日本代表にも、憧れのプロにも存在をアピールしていく。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)