“2年生でドラ1級”の超逸材 次代の日の丸を背負う大型捕手へ…指揮官も唸る圧倒的才能

今季初戦の立大1回戦に指名打者で出場…5打数3安打5打点
大学2年にして、ドラフト1位級のパワーと技術を見せつけている。東京六大学野球春季リーグは18日、法大が今季初戦の立大1回戦に13-2で大勝。「5番・指名打者」で出場した井上和輝捕手(2年)が、初回の先制3ランを含め5打数3安打5打点の猛打を振るった。右投げ左打ちの長距離砲は、通算5本塁打全てを“逆方向”のセンターから左へ放り込んでいる。
スケールが桁違いだ。初回2死一、三塁の先制機で打席に入った井上和は、立大先発の左腕・斎藤蓉(よう)投手(4年)が外角高めに投じたスライダーを一閃。一瞬、上がり過ぎたようにも見えたが、打球はぐんぐん伸び左翼席中段に着弾した。
2年生の強打者は「神宮球場は風がホームからレフト方向へ吹くことが多く、そっちの打球は伸びる。それもあって入ってくれたのだと思います」と謙虚に語ったが、先制3ランの背景には冷静な観察力もあったわけだ。
山梨・駿台甲府高時代には甲子園出場はなかったが、法大進学後、1年生だった昨年も春秋合わせて25試合でプレーした。打率.365(63打数23安打)、4本塁打14打点と活躍。異色だったのは、全ての本塁打が“逆方向”のセンターから左へ飛んでいたことだ。この日の5号もしかり。本人は「決して左方向を狙っているわけではなく、投球に逆らわず打っています。そろそろ引っ張りたいかなとも思います」と笑う。
3回無死一塁での第2打席では、内角寄りのストレートを右前打しており、もちろん引っ張れないわけではないが、“逆方向”へも事もなげにスタンドインする姿はドジャース・大谷翔平投手ばり。8回2死一、三塁のチャンスでも、真ん中高めの球をとらえて中堅手の左を破り、2点二塁打にした。
大島監督評価「日本人にはなかなかできない体の使い方」
184センチ、93キロの体格には、いかにもパワーが詰まっていそうだ。それにしても、なぜ逆方向への打球がこれほど伸びるのか。法大を率いる大島公一監督は現役時代、両打ちの内野手として活躍し、プロでも近鉄、オリックス、楽天で通算1088安打をマークした。
井上和の打撃については「僕はあんなに逆方向へ飛ばせなかったし、評価はできない」としつつ、「パワーで打っているわけではない。体の使い方が上手。普通はバットが外回りしがちなコースに対して、胸郭を上手く使って打っていると感じる。日本人にはなかなかできない体の使い方をしているのかなと思います」と解説する。そして「彼は驕ることがない。地道に努力している。このまま成長してくれたらと思います」と人柄を称賛する。
この日は、今季から東京六大学野球に導入された「指名打者」として先発したが、“本職”は捕手で、8回の守備から指名打者を解除されマスクを被った。“打てる捕手”は世界中どこへ行っても需要が高い。井上和自身、捕手というポジションへの思い入れは強く、「正確なスローイングは自分の持ち味だと思っています。守れなければ試合出られないと思うので、しっかり守れるようにやっていきたいです」と力を込める。
法大には、この日先発マスクを被った土肥憲将捕手(4年)、広島・広陵高時代に4度甲子園に出場した只石貫太捕手(2年)ら、いずれも打力のある捕手がひしめいており競争は激しい。大島監督は「まず守りを固めることが勝負の鉄則なので、捕手の起用は臨機応変に、その日その日の最善を選択したい」とした上で、「井上は法政大学にとって、将来の日本にとっても非常に優秀な選手。キャッチャーであれだけ打てるとなれば相当の魅力ですから、それを潰さないことが僕の役割かなと思っています」と強調した。
井上和自身が「将来はプロ野球の舞台に立ちたいと思っていて、そこを目指してやっています」と言い切るのも当然。大学生のうちに、いったいどこまでスケールの大きい選手になるのか、楽しみしかない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)