一流IT企業を辞退して選んだ独立リーグの舞台 NPB研修審判員が描く未来
22歳の若者はなぜ“安定”を捨てたのか、葛藤の末に踏み入れた“未知の世界”
四国アイランドリーグplusで試合を裁く古賀真之審判員【写真:編集部】
昨年12月、第2回NPBアンパイア・スクールが開催された。約60名、独立リーグやアマチュア野球での審判経験者を含む参加者のうちから、4名が選考を通過。プロの審判員の見込みがあるとされ、NPBと契約を交わした。
研修審判員として契約した4人はすでに今年、独立リーグに派遣され、“ジャッジ漬け”の日々を送っている。そのうちの1人が、現在四国アイランドリーグplusで試合を裁いている古賀真之審判員だ。大阪の池田高時代はエース。進学した立命大では準硬式野球部に入り、主戦投手の一角として全国ベスト4まで上り詰めた。就職活動では東京の一流外資系IT企業から内定を得ていたが、ひょんなことからプロ野球の審判という世界にたどり着いた。
「大学3回生のときに、スマホのニュースで見て。(部活の)準硬式野球が終わってから、機会があれば受けようと考えていた。引退して、授業もなく、後々の役に立つかなと」
偶然の出会ったアンパイア・スクールをきっかけに、“安定”の道から一転、NPBの舞台を目指して研修審判員という修行の道を選んだ。
「宮崎のキャンプに参加させてもらい、3月に決めました。もちろん、折角内定を出してもらっていて、裏切っていいのかという気持ちもあり、申し訳ないという気持ちもありましたが……」
夢を追う舞台とはいえ、研修審判員の給料は内定先に比べるとはっきりと劣り、支払われるのはシーズン中の6か月のみだ。そんな過酷な条件にも関わらず、研修審判員の道を選んだのには理由があった。