阪神ドラ1の底知れぬ可能性「末恐ろしい」 専門家も唸る存在感…攻守に幅広い選択肢

ルーキー・立石の打撃内容、野口寿浩氏が解説
■日本ハム 4ー0 阪神(26日・甲子園)
打てなくても大器の片りんを示した。阪神・立石正広内野手は26日、甲子園で行われた日本ハム戦に「2番・三塁」で先発出場。昨年の沢村賞投手である伊藤大海投手に無安打に封じられ、試合も0-4で敗れた。チームの連勝も5でストップ。見せ場は作れなかったものの、現役時代に日本ハム、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「可能性は感じさせる選手」と悲観していなかった。
これがプロの洗礼か。注目ルーキーも、日本球界を代表する投手には歯が立たなかった。初回の第1打席はカウント3-1から甘めのカットボールを捉え切れず中飛。4回は遊ゴロに倒れた。6回はフルカウントからファウルで粘ったものの、8球目のスライダーに空振り三振。8回は150キロ直球に手が出ず、見逃し三振に終わった。
昨秋ドラフトで3球団1位競合の末に阪神が交渉権を獲得。創価大から即戦力の期待を受けて入団したが、1月の新人合同自主トレから怪我が続いて開幕1軍を逃した。2軍で11試合に出場して打率.286、2本塁打。状態を整え、出場選手登録された19日に初打席でプロ初安打を放った。以降も安打を重ね、立石が1軍昇格後は5連勝。そんな勢いも封じ込められた。
それでも野口氏は「ファウルを見ても『さすがだよね』と感じました」と対応力を高く評価する。「追い込まれた後も粘れていましたし、少し差し込まれた部分はありましたけど、あまり崩されていない。伊藤大海のような力のある投手と対戦していく中で、いろいろ引き出しを増やしていければ、末恐ろしい打者になるかなという感じがしました」。
この日は1軍昇格後、初めて2番で出場。まだ打順は様子見の段階だ。野口氏は左手首の骨折で離脱中の近本光司外野手が復帰後のオーダーを予想。「近本が戻ってきたら絶対に1番に入る。中野(拓夢)が2番。3番・森下(翔太)、4番・佐藤輝明は今のままでしょう。大山(悠輔)と2人で5、6番のどちらかを打つのではないでしょうか」。チャンスで回ってくることが多い5、6番での起用を思い描く。
「近本が帰ってきた時にどうなるかな」
「守る位置も含めて、近本が帰ってきた時にどうなるかなというところが楽しみです」。立石は1軍昇格後の4試合は左翼、最近2試合は三塁で先発している。その守備については、左翼でも三塁でも「どちらを守っても、そんなに違和感はない」という。ただ「元々は三塁、二塁を守っていた選手だから、今の形(三塁)の方がしっくりくるんじゃないでしょうか」と分析した。
一方で立石が三塁に入ると、開幕から三塁のレギュラーを張ってきた佐藤輝が外野に回ることになる。「チームの4番打者、大黒柱のポジションを変えてまでやるとなると、監督やコーチも、ファンも『どうなんだろう』と考えると思います」と指摘する。それでも「いろいろなことを考えると今の形がいいんじゃないかと感じます」と力を込める。
この日は0-0の5回2死二塁の守備で、水野に左前打された。そこで左翼・森下が猛チャージ。二塁走者の俊足・細川は三塁でストップし、この回は無失点でしのいだ。これが仮に左翼・立石だったら「三塁コーチャーは回していたんじゃないでしょうか」と推察する。2死にもかかわらず、俊足の走者が安打1本で生還できない。それだけ森下のチャージが素晴らしかったのである。
「立石だと外野は本職じゃないので、あそこまでチャージできたか分からない。森下の外野守備は走者二塁でシングルヒットが出た時の抑止力になります。右翼の佐藤輝明も同じです。プロでの外野の経験は立石より豊富です。外野にスローイングがいい選手が多いとコーチャーは回しにくい。そうなると立石が三塁に入る方が、いろんなプラスアルファがありそうに感じます」
リーグ連覇に向けて、阪神は戦力が整いつつある。近本が復帰した時、立石の打順は何番になり、どこを守るのか。ファンにとっては、それを想像するのも楽しみの1つとなりそうだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)