顔面死球に東京D悲鳴も…即ガッツポーズ “9番降格”で見せた執念、指揮官激賞「彼の技」

共栄大戦に出場した天理大・山下琉斗【写真:小林靖】
共栄大戦に出場した天理大・山下琉斗【写真:小林靖】

4年生の山下琉斗はリーグ戦で1番を務めるも“降格”

 第75回全日本大学野球選手権記念大会が8日に開幕した。東京ドームでの第1試合は、天理大(阪神大学野球連盟)が3-2で共栄大(東京新大学野球連盟)に逆転勝ちし、2回戦進出を果たした。「9番・中堅」でスタメン出場した山下琉斗外野手(4年)が、独特の“武器”を存分に生かして勝利に貢献した。

 スタンドが騒然となった。両チーム無得点で迎えた、天理大の3回の攻撃。山下は1死一塁の場面で左打席に立った。共栄大先発の左腕・佐藤夏月投手(4年)の初球が、バントの構えを見せた山下のヘルメットの耳当て付近を直撃した。

「なんとか塁に出たいという思いでした。初球のことだったので、最初は何が起きたか分かりませんでした」

 うつ伏せに倒れ込んだ山下だったが、すぐさま立ち上がり、自チームのベンチへ向かって雄叫びを上げながらガッツポーズ。心配して慌てて駆け寄った三幣寛志監督と言葉を交わした後、一塁へ向かう際にも、もう1度ベンチへ向かって右拳を突き上げた。「相手のチームには申し訳ないなと思ったのですが、気持ちが出ちゃいました」。あわや大怪我という場面だったが、勝利への執念が上回っていた。

 リーグ戦では1番を打っていた山下だが、打撃不振で9番に降格。自分の役割を理解して打席に入っている。「僕には足があるので、塁に出れば何かが起こると思っています。やっぱり1番は塁に出ることが仕事なので、日頃から工夫を続けています。体を張って、もう死ぬ気で試合に挑んでいます」と力を込める。なるべくホームベースの近くに立ち、相手投手のボール球を誘う努力を日頃から重ねている。

 さらに山下は、0-1とリードされた5回、1死二、三塁の場面でも2打席連続の死球を受ける。今度はカウント3-2から、138キロのストレートが右手甲をかすめた。これが続く1番・藤原凪秀外野手(2年)の逆転2点二塁打につながり、泥臭く勝利を引き寄せた。

2回戦では金沢学院大と対戦「エースだけじゃないぞ」

 山下自身「僕は普段から死球と四球が多いです」とニヤリ。三幣監督は「リーグ戦でも死球が多い子です。逆に、彼の技と言えるのかもしれません」と山下の出塁への“執念”を高く評価する。

 こうして初戦を突破した天理大は、9日の2回戦で金沢学院大(北陸大学野球連盟)と対戦する。「チームの看板選手はエースの的場(吏玖投手)ですが、次は『天理大は的場だけじゃないぞ』というところを見せたいなと思います」。山下は“9番のプライド”を胸に、次戦も己の役割を全うする。

【実際の様子】顔面死球→倒れ込み…心配そうな球審も、雄叫びを上げる天理大・山下琉斗

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