進学校エースの涙、唇震わせ「何が足りなかったのかな」 シード撃破も…届かなかった甲子園

県内屈指の進学校・丸亀 OB監督とベスト4入りも準決勝で散る
甲子園常連校も認めた実力だった。最高気温38度のレクザムスタジアムで23日、第108回全国高校野球選手権香川大会の準決勝2試合が行われ、2013年夏以来13年ぶりの聖地を狙った丸亀は、2-3で高松商業にサヨナラ負けした。フルイニング出場したエース兼4番の吉川巧人投手(3年)は敗戦後、左手で両目を覆い、「何が足りなかったのかなって。入学してからずっと(自分に)厳しくしてきたのに」と唇を震わせた。
ノーシードで今夏の大会に臨み、準々決勝で優勝候補の蓬莱と延長11回タイブレークに及ぶ接戦を6-5で制した。この日の高松商業との一戦も、1-2の6回の攻撃でランニング本塁打を狙うなど果敢に攻め、守っては5回に併殺、6回に本塁でランナーをアウトにするなどし、終始つばせり合いの展開を続けた。
その後、7回に8番・福永晃良外野手(3年)が右前二塁打で出塁すると、後続の四球と犠打で同点に。しかし、最終回に泣いた。2-2で迎えた9回一死二塁の場面で、高松商業の3番・河田健汰捕手(3年)を申告敬遠で歩かせたが、続く5番・塚本駿外野手(3年)に右前へのサヨナラ打を浴びた。
二塁走者のホーム突入とほぼ同じタイミングで返ってきた外野手からの送球を、カバーするためにホームベースの後ろに立っていた吉川。球審の「セーフ」の判定に膝から崩れ落ちた。

高松商業と互角の戦い、負けても貫く丸亀のスタイル
試合後、この場面については「絶望というか……」と言葉が続かなかった。日頃から「負けたあとの姿が大事」と指導され、仲間うちでも言い合ってきた。しかし、実際に高校野球生活の終わりに直面すると、頭の中は真っ白。理想通りの行動はできなかった。
それでも吉川の父は言う。「香川大学付属中のときは、ひとつ、ふたつ勝てるくらい。力もなかったんでね。僕は高松高校で県大会はベスト8。それを息子に超されたんですから、よくやってくれたもんですよ」。県内屈指の進学校の生徒として、勉強は当然ながら、野球の緻密な戦略、部員アナリストと共に科学的な分析をしながら臨んだ夏だった。
対戦相手であり、同校OBでもある高松商業・長尾健司監督も「(うちの)負け試合」と口にした。ここまで手に汗握る戦いをした“後輩たち”を称えつつ、「負け試合を、負け試合にしなかったのは相内(奏投手・3年)のおかげ」と、4回から継投した高松商の右腕のことも褒めた。その相内も、強靭な丸亀打線を「振りが強かった」と認めていた。
「真剣勝負をした結果。潔く負けを認めます」。そう語りながら、必死に涙をこらえた丸亀の杉吉勇輝監督。2016年春に小豆島を甲子園へ導き、高瀬を経て2023年に母校に戻った。「うちは精一杯やりましたが、この状態で、このような展開を突破できる力をつけないといけない。接戦になったときにしか勝てないんです。これが伝統的な丸高(丸亀高)の戦い方なんです」。また夏はくる。次こそは聖地に立てるように、前を向いた。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)