「男子と一緒に練習したい」 校長先生に手紙を届けた中2の冬…たった1人の女子部員が駆け抜けた3年間

明大八王子の唯一の女子部員・三宅希空さんが男子野球部に入ったワケ
第108回全国高校野球選手権西東京大会の準決勝が24日、神宮球場で行われ、第2試合で明大八王子は八王子実践に2-4で敗れた。同部初の女子部員として、記録員を務めた三宅希空さん(のあ、3年)は「最後の最後までは勝てると思っていたので。まだ負けた実感があんまりないです……」と、涙をこらえながら言葉を紡いだ。
三宅さんは小学3年生の頃から男子に混ざってプレーしていた“野球少女”。仲間と白球を追いかけていたが、転機は中学2年の冬に訪れた。
「文武両道を目指したい」。部活と勉強の両立を志すなか、父・康平さんが明大に女子野球同好会があることを教えてくれた。「そこから明治の付属系列の高校に入学ができないかということで明大明治高さんと明大八王子さんにお手紙を書かせていただいて……」。自ら“直談判”の手紙をそれぞれの校長宛に送ったのだ。
「女子野球部を作ることはできますか? できないとしても男子と一緒に練習させていただくことはできますか?」
返事を待つ日が続く中、明大八王子の校長先生から「監督が直接話をしたいと言っている」との返事を受けた。そうして、椙原(すぎはら)貴文監督と監督室で面談。「気持ちがあるのだったら一緒に野球をしよう」と声をかけられ、明大八王子に入学。そして野球部への入部を決めた。

「今後も人との縁を大切にしながら」クラブチームのセレクション受験へ
自宅がある埼玉県上尾市から八王子まで電車とバスを乗り継いで毎日、片道2時間をかけて通学。男子と同じメニューをこなしてきた。きつい練習の中で、もっとも成長を感じたのは精神面だ。
「元々は男子と積極的に話す性格ではなかったんです。でも先輩たちが気さくに話しかけてくださって……。そこから先輩たちとも同期たちとも仲良くなることができました。このチームに入れて本当に良かったです」
仲間にも恵まれた環境でコミュニケーションの大切さ、喜びを学んだ。当初は明大進学後に女子野球同好会に入る予定だったが、濃密な3年間を過ごし、気持ちに変化が生じた。「この貴重でハードな体験を生かしていきたい」。今後は女子野球のクラブチームのセレクションを受ける予定だという。
「ここまで他の人がやっていないことを経験させていただいた。今後も人との縁を大切にしながら、この経験を大事にしていきたい」。神宮球場の外周で行われた“ラストミーティング”では最高の笑顔を見せた17歳。今後の活躍も楽しみでならない。