“0/24”の快挙で掴んだ決勝…150キロ右腕が忘れぬ無念 関東第一でつながる3兄弟の夢

自己最速150キロを計測…2年生右腕が準決勝で“ノーヒットノーラン”
神宮球場のスコアボードに「150」の数字が表示されると、スタンドはどよめきに包まれた。マウンドには関東第一(東東京)の先発右腕・高橋友朔投手。全国制覇を目指す2年生が、東東京大会の準決勝で輝きを放った。
関東第一は25日、第108回全国高校野球選手権東東京大会の準決勝で目黒日大と対戦。7-0の7回コールドで3年連続の決勝進出を決めた。高橋は7回を無安打無失点に抑え、参考記録ながらノーヒットノーランを達成。自己最速となる150キロを計測し、打者24人から8三振を奪う快投を見せた。
打線の援護もあり、高橋は最後までマウンドで躍動。83球で快挙を成し遂げ、決勝への余力も残した。ただ、右腕は無安打投球より、150キロ計測のほうがうれしかったようだ。試合後、節目の数字について「高校に入ってから150キロを目標にやってきたので、それを達成できたのは良かったです。でも、まだ150キロ中盤を目指したいです」と発言。穏やかな笑みを浮かべ話す表情から、充実ぶりが感じられた。
2年生右腕が追い求めているものは、球速だけではない。決勝の先にある甲子園、そして全国制覇だ。「兄が準優勝だったので、自分が優勝して帰りたいと思っています」と雪辱を期する。高橋の兄・徹平さん(中央大に進学)も関東第一でプレー。2024年夏には主将として甲子園準優勝に貢献した。2年前、兄があと一歩で逃した全国制覇を掴もうと必死だ。
そんな高橋の背中を追う存在がいる。中学3年生の弟、斗真さんだ。神宮球場のスタンドから見守った兄の投球を「10点中7点」と採点した。「球威は前半はあったんですけど、後半はもう少しスタミナが必要。体力をつけてほしい」と厳しい評価。全国制覇にはもっと成長が必要と、三男が“ゲキ”を飛ばした。
長男の徹平さんも、高橋の成長を感じている。「野球のセンスは抜群。自分よりも身長も大きく、体格もいい。落ち着いて投げられる投手」と太鼓判。関東第一の主力投手に成長した弟に、自身の代では果たせなかった全国制覇を期待する。
高橋3兄弟がつなぐ夢…父も期待「甲子園に連れて行ってほしい」
高橋家の3兄弟が野球と出会ったのは、多摩川河川敷だった。家族で川遊びに訪れた際、野球をする少年たちを見て「やってみたい」と興味を持ったという。父の良輔さんは「自分はバスケットボールしかしたことなかったんですが、野球を“やりたい”と言ったので」と、原点を振り返る。
続けて「徹平が関東第一で楽しそうに野球をやっていたので、下の2人も入りたいと思ったんでしょうね」と、長男・徹平さんの姿が、次男・友朔と、三男・斗真さんに影響を与えたと語った。父親から見ると、兄弟の性格は「徹平は我慢強い。友朔はマイペース。斗真はお調子者」と三者三様。ただ、全国制覇の夢は、兄弟の間でしっかりと受け継がれている。
良輔さんは「甲子園にぜひ連れて行ってほしい。兄・徹平が成し遂げられなかった甲子園優勝を見たいですね」と、願いを託す。母も「怪我なく頑張ってほしい」とエールを送り、家族全員が甲子園出場の吉報を心待ちにしている。
夢である全国制覇を実現するために必要な甲子園切符。関東第一の2年生“エース”は、家族4人が見守るなか、決勝のマウンドに臨む。
(横井洸太 / Kota Yokoi)