最終回に「157→156→157」 肌で感じた織田の130球…相棒の興奮と明かしたエースの“素顔”

桐光学園戦に先発した横浜・織田翔希【写真:小林靖】
桐光学園戦に先発した横浜・織田翔希【写真:小林靖】

横浜のエース織田が9回130球1失点の熱投

 第108回全国高校野球選手権神奈川大会は26日、横浜スタジアムで決勝が行われ、横浜が11-1で桐光学園を下し、4季連続の甲子園出場を決めた。エースの織田翔希投手(3年)が、150キロ前後の直球を軸に、8回まで1失点の好投。120球を超えた9回には157キロを連発し、最後まで桐光打線を圧倒した。

 織田は準決勝の慶應戦にも先発。1本の安打も許さない快投を見せていたが、5回の投球練習時に足がつるアクシデントに見舞われた。その後も続投したものの、7回の先頭打者に3球目を投じたところで降板。決勝への影響が心配されていた。

 足の状態に懸念があったため、決勝では、8回から小林鉄三郎投手(2年)に継投する予定だった。続投の理由を、村田浩明監督は「(織田は)全く言うことを聞かなかったですね。ベンチでは(小林に)『今日は投げさせないからな』と言っていたので」と苦笑混じりに明かした。

 2番手で登板するはずだった小林は、事前に織田から「マウンドは絶対に譲らない」と告げられていたという。ブルペンで準備はしていたが「試合が進むにつれてギアが上がっていた。終盤の投球は凄まじかったです」と、エースの投球に釘付けになっていた。

 織田をリードし、130球を受け止めた脇山魁音捕手(2年)は興奮気味に「とにかく偉大。凄い投手です」と感嘆。この日の織田は野球ファンはもちろん、チームメートすらも魅了した。

桐光学園戦でバッテリーを組んだ織田翔希(左)と脇山魁音【写真:小林靖】
桐光学園戦でバッテリーを組んだ織田翔希(左)と脇山魁音【写真:小林靖】

快投の裏に相棒の“見えざる努力”

 横浜はこの夏、織田という存在がいながら、右腕1人に依存しなかった。頼らずとも勝ち上がれる戦力があったともいえる。最速150キロ左腕の小林、林田滉生投手(3年)、二刀流の池田聖摩内野手(3年)ら、他校であればエースを担う可能性もある投手が多く控えている。

 その一方、県予選で捕手を務めたのは脇山ただ1人だった。2年生ながら、全7試合にフルイニング出場。計6人の投手をリードした。ただ、個性豊かな投手陣を1人でけん引することは並大抵ではない。献身の裏には苦労もあった。

「ピッチャーそれぞれの投球スタイルや性格を把握することが大変でした。日頃からコミュニケーションを多くとることを意識しました」

 織田については「とにかく野球に真摯で頼りになる存在。でもオフの時には冗談を言って和ませてくれたりします」とお茶目な一面も明かしてくれた。

 常に野球のことを考えて生活する。才能豊かな投手が揃っているとはいえ、強豪ひしめく神奈川で、7試合51イニングをわずか5失点で切り抜けたのは、脇山の“見えざる努力”が実を結んだと言えるだろう。

 昨夏の甲子園、横浜は準決勝で県岐阜商に惜敗。春連覇が期待された今年の選抜は初戦で姿を消した。目指すは28年ぶりとなる夏の頂点――。激戦を勝ち抜き、絆を深めた“バッテリー”が聖地での戦いに挑む。

(井上怜音/ Reo Inoue)

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