「引っ張っていくじゃない」 仙台育英・須江監督が求める“令和のリーダー像”

仙台育英は開幕戦に登場し3-1で札幌日大を撃破
夏の甲子園がついに幕を開けた。5日は仙台育英(宮城)が、3-1で札幌日大(南北海道)との開幕戦を制し白星発進。2022年夏の甲子園で優勝を果たすなど“常勝チーム”を作る須江航監督が考える「チームマネジメント」、求める「リーダー像」に迫った。
今大会のベンチ入りメンバー20人のうち3年生は9人で、半分以上は下級生と若いチームだ。5日の先発メンバーも3年生は豪快な一発を放った4番・田山纏、主将・倉田葵生の2人だけ。それでも、「発展途上なので。下級生が多いということはそんなに完成度なんてないわけですよ。もう各々の長所に関して、まあはっきり言ってもう振り切ってます」と、若さを前面に押し出し宮城大会では5試合で59得点、2失点と圧倒的な力を見せて甲子園の切符を掴んだ。
全国制覇を果たした2022年も下級生が主力の若いチームだった。力を持った2年生や、入学即レギュラーを獲る1年生の存在はチームに不可欠だが、指揮官が一番大切にしているのは3年生の存在だという。
「結局は何人下級生がいようが、究極を言えばベンチに入ってなかろうが3年生のチームなんです。結局それが学生野球だから。プロとかじゃないから。だから3年生がこの2年生をどうやってコントロールしてあげたりサポートするかっていうことがほぼチーム力なんで、優勝した時も3年生が良かったです」
だからこそ、主将を務める倉田のリーダーとしての気質を高く評価している。レギュラーとして結果を残し、グラウンドではポジティブにナインを引っ張る献身的な姿。高校生でなかなかできるものではない。
「本当にバランサーとしてすごく良いんで。皆さんの会社に“こういう子いてくれたら良いな”みたいなのが倉田なんです。いつも機嫌が良い。いつもニコニコしてて、出来ないじゃないですか、そんなの。しかも、プレッシャーもあるし自分が試合に出られたり、出られなかったり。そんな前向きになれないですよね。どれだけ丁寧に指導してコミュニケーションを取って対話しても、やっぱり悔しいな、2年生、1年生が出ててとなる中で、倉田がいつも機嫌良く振る舞ってくれるから。倉田が作ってるチームだなと思いますから。はい。だからみんなの思いは、倉田に優勝旗を持たせたいっていう合言葉みたいになっているので」
チームの顔とも呼べる主将の存在は、時代とともに変化しているという。須江監督が求めるのは“令和のリーダー”だという。
「結局、求める人がキャプテンになった方が良いと思うので。監督が求めるんじゃなくて、子どもたちの気質とか考えとか歩みの中で、『こういうヤツがいてくれると良いな』っていう風に。その子(キャプテン)が引っ張っていくみたいなのは、僕は令和のリーダーじゃないと思ってて。やっぱり象徴というか、『この子をみんなで盛り立てて行きたい』みたいに思ってもらえるような子が、令和のリーダーだと思う。そういう目標に向かって誰かが引っ張るとかじゃなくて、各々が集まっていく組織で良いと思ってて。それを一番ポジティブに出来るのは、今年は倉田だったっていう話ですね」
圧倒的なポテンシャルを持つ下級生たちがグラウンドで躍動できる裏には、3年生のサポートがある。最高のバランサーに導かれた若いチームは、試合を重ねるごとに完成度を高め、今夏も甲子園に大きな旋風を巻き起こすはずだ。「倉田に優勝旗を」。その強い合言葉を胸に、仙台育英は軽やかに、そして力強く、夏の頂点を目指して突き進む。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)