悲願の甲子園も直面する“遠征費問題” バス43台、総勢2500人…初出場校が大移動できたワケ

市立福山は春夏通じて初の甲子園出場
躍進の裏には地元との“結びつき”があった。第108回全国高校野球選手権大会の第6日は10日、甲子園球場で1、2回戦の4試合が行われ、第4試合で春夏通じて初の甲子園出場を果たした市福山(広島)が天理(奈良)と対戦するも2-7で敗れ、初勝利とはならなかった。
惜しくも敗れた市福山だったが、三塁側アルプスの“大応援団”が熱戦を盛り上げた。“福山カラー”の緑と白のメガホンを手に、在校生や保護者、OBら総勢2500人がアルプスを埋め尽くし、熱い声援で選手を後押しした。
大規模な応援団ともなれば、直面するのが遠征費の問題である。近年、甲子園出場校が高額な遠征費に頭を抱え、クラウドファンディングを行うケースも珍しくない。前例なき甲子園遠征に2500人の大移動、福山の“懐事情”はいかに――。
「(費用は)相当かかってますね、言えないですけど……。1回戦は何とかなります。2回戦は何とかします……」。そう話す松村和司教頭は苦笑いを浮かべた。
さらに「福山からバスが42台、遠方のOBの方のために東京から1台で来ました」と、大応援団集結の裏側を明かす。1日の遠征とはいえ総勢2500人ともなれば、移動にかかる経済的負担は計り知れない。
それでも、遠征費用のほとんどを寄付金で賄うことができたというのだ。なぜ、多額の寄付を集めることができた背景には、地元との強固な繋がりがあった。

快挙の裏には強力な福山市のバックアップがあった
市福山の躍進に“援軍”の存在は欠かせなかったという。松村教頭は「福山市さんが屋内練習場や照明を造ってくれるなど、色々な援助をしてくださいました」と感謝するように、市を挙げた精力的なサポートが快挙を後押ししたのだ。
躍動するナインの一挙手一投足に沸き立つ市福山アルプス。その中には、応援団と共に立ち上がり声を張り上げる現職の福山市長・枝広直幹氏の姿があった。
「学校、生徒の『野球がしたい、強くなりたい』という思いが伝わってきたものですから、しっかりと応えてあげないといけない」
ナインの率直な思いが市長の胸を打ち、設備拡充など多角的な支援に繋がった。寄付金についても、市がホームページなどで積極的にPR活動を行ったことが奏功。多額の援助が集まったのだと教頭は明かす。
町全体で生徒の純粋な思いに応える。強力なバックアップも味方に――。来年こそ聖地での初勝利で恩返しする。
(井上怜音/ Reo Inoue)