“薄給”でも「ありがたい」 元ロッテ・石川歩がオランダで投げる意味…日本を離れ「視野広がった」

オーステルハウト・ツインズの石川歩【写真:本人提供】
オーステルハウト・ツインズの石川歩【写真:本人提供】

プレーオフ準決勝敗退、シーズン個人成績は15登板で5勝2敗、防御率2.89

 元ロッテで、今季からオランダ野球トップリーグ「ホーフトクラッセ」の「オーステルハウト・ツインズ」に移籍した石川歩投手が、新天地でのシーズンを終えた。Full-Countのインタビューでは、「環境が違いすぎるし、文化も違えば考え方も違いますけど、そういうのも受け入れつつ視野は広がったと思います」と充実の1年を振り返った。

 7チームが競うリーグで3位に入りプレーオフに進出したが、準決勝で敗退した。しかも勝利したはずの試合が、石川の規則違反により再試合となって敗戦するという異例の騒動だった。

「ビックリしましたね。隠し球に成功したと思って、そのときはアウトになったんですけど1-0で勝ったはずの試合後に抗議されて。アンツーカーに入っちゃいけないんですけど、砂利の上にいたんです。再試合となったときに『ごめん、日本のルールと違ったわ』ってチームメートに言いました」

 ハプニングはこれだけではない。シーズン中には中継ぎだと思っていた試合当日に自分が先発であることを知ったり、球場到着後に公式スコアラーが来られなくなり試合が中止になったこともあった。そんな環境をも受け入れ、中4日で登板するなどフル回転して15登板で5勝2敗、防御率2.89。「いやあ、体力的にしんどかったです。リカバリーが追いつかずに投げている状態でした」と苦笑いした。

オーステルハウト・ツインズの石川歩【写真:本人提供】
オーステルハウト・ツインズの石川歩【写真:本人提供】

休暇にはヨーロッパ一人旅満喫「ちょっと大人になったなと思いました」

 コーチ就任の打診を固辞し、昨季限りで12年間を過ごしたロッテを退団した。「もともと海外留学をして英語を学びたいなと思っていたので、その年に辞めて海外に行こうと思っていました。例えば3年後に海外に行くって結構厳しいと思ったので、一番動きやすいと思って。それで英語が通じる国というかヨーロッパに行きたいと思いました」。チームのOBであるリック・バンデンハーク氏の紹介で、オーステルハウト・ツインズ入りが決まった。

 同僚たちは仕事をしながら野球に打ち込む。火曜日の夜に練習を行い、木曜日の夜に1試合、土曜日にダブルヘッダーと毎週3試合をこなす。石川は“野球一本”で、住まいはカナダ人の監督と米国人のチーム関係者との共同生活。空いた時間は英語の勉強をしたり、電動自転車でスーパーに買い出しに行き自炊をするなどして過ごしているという。

 リーグ戦が約1か月中断した期間には、ヨーロッパ旅行も楽しんだ。ドイツ、ベルギー、イギリス、スペイン、大好きなサウナの聖地・フィンランドなどを訪れ「こんなにいろいろな国に行ったのは初めてですし、これだけ移動したこともない。一人旅も本当に久しぶりでしたし、全部自分で予約したり、ちょっと大人になったなと思いました」と笑った。

 38歳になっても異国で投げ続けているが「いやいや、僕はもう野球をやっているというか、海外で生活している中に野球があるという感じなので。僕の場合は野球以外に何もできないので、海外に住むためのツールとして野球があるって感じです。お給料は少ないですけど、自分がお金をもらえるのは野球しかないので、もらえてありがたいくらいです。だから楽しいですよ」。その原動力は、実に石川らしいものだ。

 日本に残す家族や体と相談しながらだが、来季もプレーしたいという意向を持つ。「オランダリーグのレベルは結構高いと思います。“助っ人枠”だと厳しいかもしれませんが、日本でもやれるだろうなという選手もいます。だから海外生活でいろいろなチャレンジをしてみたい日本人にもすごくオススメの場所です」と石川。かつて新人王や最優秀防御率のタイトルも獲得した男は、オランダで野球だけでなく人生を謳歌していた。

(町田利衣 / Rie Machida)

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