山本由伸が今も飾る岸田監督のユニホーム 継承するオリ「18」の魂…明かした矜持、100点投球は「楽しくない」

ドジャース加入3年目、山本由伸はエース格として絶大な信頼を得ている【写真:ロイター】ドジャース加入3年目、山本由伸はエース格として絶大な信頼を得ている【写真:ロイター】

平常心でマウンドへ…冷静投球で熱狂、山本由伸の“魅力”

 どこに行っても、愛される男の“資質”は変わらない。ドジャースの山本由伸投手は謙虚な姿勢を貫き続けている。「運が良いんです、僕は……」。海を渡り“世界一の投手”となっても、周囲から愛される理由がたっぷりと詰まっている。

「人生の分岐点で素敵な人に出会えているだけ。周りの方に感謝しかありません。僕は昔から……。野球を頑張るか、友達と遊ぶのが大好きでした。その2つが、自分の全てなんです」

 応援してくれる人を大切にし、仲間が困っていると“こっそり”と救いの手を差し伸べる。そんな28歳の生き様に、胸を打たれるファンは多い。笑顔を絶やさず、常に仲間を思う。「勝つと楽しいですよ、やっぱり。究極はみんなが活躍して勝つこと。僕はそのために一生懸命、投げるだけです」。世界最高峰の舞台に立っても、勝利の女神が微笑む理由は、ここにある。

「(勝ち負けへの気持ちは)毎週、本当に変わりないですね。投げるからには絶対に勝ちたい。でも、勝っても負けても、僕のやることは一緒ですよ。どの試合も、どの調整期間もやることは変わらないので。本当にちょっとしたきっかけで良い方向に感覚が行く時がある。だからこそ、少しでもきっちりと調整したいなと思います」

 オリックス在籍時から取り組んでいる「ジャベリックスロー」は、同僚のムーキー・ベッツ内野手からも興味を持たれている。「ちゃんとした投げ方じゃないと、うまく前に飛ばないんです。体を大きく使って、手だけで投げないというか。全身の運動ですね、心掛けているのは」。1度の“投てき”でフォームの微調整を行い、また投げる。冷静な分析こそ、28歳の魅力でもある。

チーム内でも注目の“ヤリ投げ”トレ。大事な調整方法だ【写真:荒川祐史】チーム内でも注目の“ヤリ投げ”トレ。大事な調整方法だ【写真:荒川祐史】

 大舞台でも「いつも通り」を心掛ける。完璧は求め過ぎない。「打たれちゃダメだと考えると、知らないうちに自分を苦しめることになってしまうんです。もちろん、打たれない方がいい。でも、試合中に打たれたりする経験があるから楽しい。抑えられる喜びがある。真剣にやっているから、そう感じると思うんですよね。ずっと100点のピッチングを目指していますけど、もし100点を取ったら……。そこからの投球は楽しくないんじゃないですか?」。鍛錬を重ねて、常に進化を続ける。

岸田護監督から受けた“18のイズム”

 岡山・備前市で育ち、宮崎・都城高へ。オリックスには2016年ドラフト4位で入団。入団1年目の2017年から1軍のマウンドを経験し、2年目の2018年には54試合に登板。19歳ながら4勝2敗1セーブ、防御率2.89の成績を残した。

3年連続投手4冠&沢村賞を獲得するなどオリックスで輝かしい功績を残した【写真:荒川祐史】3年連続投手4冠&沢村賞を獲得するなどオリックスで輝かしい功績を残した【写真:荒川祐史】

 2019年に先発へ再転向。オリックスを悲願のリーグ優勝に導いた2021年は18勝5敗で防御率1.39を記録し、2023年まで3年連続投手4冠&沢村賞を獲得。3連覇を成し遂げた2023年オフにポスティングシステムを利用し、ドジャースに移籍した。移籍2年目の2025年にはワールドシリーズで3勝をマークし、MVPに輝いた。

「とことん好きなんだと思います、野球が。楽しいから自分で考えることができる。勉強は……僕にとってはそうじゃなかったのかなと(笑)。楽しいから時間を注げるし、打たれたら本当に悔しい。負けたくないって思えるから、成長に繋がるんじゃないですかね」

 ずっと貫く真摯な姿勢は、グラウンドを離れても一緒だ。ある時、オリックスの「18」の前任者でもある岸田護監督からユニホームを手渡されたことがある。直筆のメッセージが添えられた“逸品”を額縁に入れ、今でも大切に飾っている。「マモさん(岸田監督)はいつもあのままというか。言葉もそうですけど、背中で僕たちを引っ張ってくれる存在ですよね」。受け継いだ“イズム”を、海の向こうでも継承する。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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