巨人・坂本勇人がプロ通算100号 子供達も喜んだ記念弾
野球少年への心配りを忘れない坂本
巨人の若きチームリーダーの坂本勇人が、阪神との2014年開幕戦で開幕アーチを放った。阪神のエース・能見篤史から4回に放った今季1号ソロは、プロ8年目で通算100号のメモリアルアーチになった。「1本打ててうれしいです」と開幕戦の勝利に貢献した一打を素直に喜んでいた。
第1号は2008年4月6日の阪神戦。同じ東京ドームだった。そのプロ初ホームランは満塁本塁打。19歳3か月で放ったプロ1号の満塁ホームランはセ・リーグの最年少記録となった(パでは西武・炭谷銀仁朗の18歳)。あどけなさが残る子供のような笑顔が印象的だった。
そんな坂本は野球少年への心配り、“笑顔配り”を忘れない。子供から送られてくるファンレターには必ず目を通す。時には印象に残ったものや刺激になるメッセージが書かれてあるものを、自分のロッカールームに張り出し、出陣する時もあるという。
街で偶然見かけた子供がサインを欲しがった際にその子がペンも紙も何も持っていなかったことを知ると一緒に近くの店に、色紙とサインペンを買いに行ったというのは有名な話。球場などで子供にサインをする時は、ただサインするだけでなく、頭を1、2度、ポンっと軽く触ることも忘れない。これには子供も自然と笑顔になる。サインだけでなく、心にも思い出を書き込んでいるのだ。
人気選手であり、練習中や忙しい時にサインを求められることもある。なかなか全員の子供にサインすることはできないため、大きな声でサインを求めるファンの子供に向かって、坂本は遠くから、まずは自分の右手で自分の左肩、二の腕、手の甲とトン、トン、トンと触り、左手でも右肩……と同じ動作を繰り返す。
つまり、プロ野球で三塁コーチャーが打者に出す作戦の「サイン」を、子供たちに向かって出しているのだ。川崎宗則らもよくやるこの「サイン違い」に、子供たちも笑顔に包まれる。それだけでも坂本が子供の声に応じてあげようとする気持ちが伝わってくる。
そんな坂本が放ったプロ通算100号のメモリアルアーチ。開幕から見せてくれた雄姿に励まされた子供たちも多いだろう。坂本はこれからも、子供に夢と勇気を与え続けていく。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count