ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズで4連敗…WS3連覇ならず
不甲斐なさと悔しさをにじませながらも、視線はすでに「次」のシーズンを見据えていた。ドジャースは15日(日本時間16日)、本拠地で行われたブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第4戦に敗れ、4連敗で敗退。大谷翔平投手は敗退直後に報道陣の取材に応じた。ワールドシリーズ3連覇という偉業の夢が打ち砕かれた直後、失意のロッカールームで大谷、デーブ・ロバーツ監督が語ったリアルな本音に迫る。
意地の一発は1点リードで迎えた2回2死一、二塁だった。元チームメートの右腕ダスティン・メイ投手が投じた内角球を強振すると、乾いた打球音とともに飛距離428フィート(約130.5メートル)のポストシーズン(PS)1号3ランが右中間へと吸い込まれた。バットを放り投げ、三塁ベンチへ向かって激しく絶叫しながら走り出した背番号17の姿に、本拠地ドジャースタジアムは大熱狂に包まれた。
しかし、チームは最大4点のリードを守り切れずに逆転負けを喫し、4連敗で終戦となった。会見で「本塁打の時の感情」を問われた大谷は、静かに振り返った。
「やっぱりランナーが溜まってたので、まあホームランではなくても1人でも多く返したいなと思ってましたし。でも、結局はあの一本ぐらいだったので……。本当に自分の実力不足というか。はい、そういうのも改めて、もう一度、一から頑張りたいなというか、出直したいなという気持ちです」
約2か月ぶりのアーチに感情を爆発させてダグアウトへ叫んだ大谷の姿について、ロバーツ監督は胸の内を推察し、主砲である大谷へ惜しみない賛辞と信頼を口にした。
シーズン終盤は満身創痍の中で強行出場、オフに手術の可能性
「あまり見られない姿だった。ずっと内にため込んできた怒りやフラストレーションが表れたのだと思う。それほど彼がチームの勝利を大切に思っている証拠だ。私はこれからもショウヘイを信頼し続ける。地球上で最高の選手だし、今は100%の状態ではない。それでも逃げずにチームに加わり、プレーし続けようとした。その姿には本当に敬意を抱いている」
9月11日(同12日)に右上腕二頭筋の炎症で離脱し、復帰後も満身創痍の中での強行出場が続いていた。ブルワーズとの差について問われると、相手の完成度を称えつつ言葉を選んだ。
「これ1つという答えはもちろんないですしね。ボタンの掛け違いというか、大きくそういうポイント、ポイントで、流れがこっちに来ることもあったと思います。ただ向こうはこのシリーズで地力が出ていた。特に走攻守、すべてにおいてバランスの良い素晴らしいチームだったなと感じました」
二刀流の完全復活が期待された今季は6月上旬まで防御率0.74。リーグMVPはもちろん、サイ・ヤング賞候補にも挙がるフル回転を見せた。しかし、6月中旬に左膝の炎症、7月には右上腕二頭筋の違和感を発症。ポストシーズンでの登板はかなわず、7月3日(同4日)の本拠地・パドレス戦が最後の登板となった。
オフの手術や治療の可能性について問われると、表情を引き締めて本音を明かした。
「今のところはちょっとまだ分からないですし、これから色々と解決策も含めてどうなっていくか見たいなと思っています。まあポストシーズンでまず投げられていないですしね。そこはまず自分の中で不甲斐ないというか、不満があるポイントではあるので。身体のことに関してはこれからオフシーズンに入るので、またこれからになるのかなと。もちろん(二刀流を)続けていく気持ちで、全部やるつもりで頑張りたいと思っています」
「このメンバーでできるのは最後」感謝を胸に次へ
過酷な1年間を戦い抜き、かけがえのない時間を過ごした仲間たちへの感謝の思いで会見を締めくくった。
「このチーム自体でできるのは最後で、このメンバーでできるのも最後。本当に悔しい気持ちですね。そこ(3連覇)を目指してまず1年間頑張れましたし、チーム一丸となって過ごした日々に、まずはみんなに感謝したいです。残念ながら目標は達成できなかったですけど、また来年からの糧にしたいなと思っています」
熾烈な激闘を終えた額には大粒の汗が浮かんでいた。7分間の囲み取材が終わると、集まった報道陣に向けて「ありがとうございました」とあいさつを交わし、足早にクラブハウスを後にした。
今世紀初のワールドシリーズ3連覇を目指したPSは26打数5安打の打率.192、1本塁打、3打点。チームの4連敗は何よりも屈辱だっただろう。これまで悔しさを糧に成長し続けてきたのが背番号17の真骨頂。失意のオフを経て、来季は、さらに進化した“完全体の二刀流”で再び頂点を目指す。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)