社会人→メジャー移籍…40歳になった田澤純一の現在 選手兼GMに、探し続ける“選択肢”

ルートインBCリーグ・埼玉武蔵が18日午後6時過ぎにGM就任発表
独立リーグ・ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズは18日の午後6時過ぎ、所属する田澤純一投手の選手兼ゼネラルマネージャー(GM)就任を発表した。チームはこれまでGMを置いたことはなく、今回新設されたポジション。田澤は今後、現役投手を続けながら、GMとして角晃多代表取締役社長とともにチーム運営に携わっていく。
今回のGM就任にあたり、Full-Countのインタビューに応じた田澤は「ちょっとビックリする角度からのオファーだった」と笑いながらも、「埼玉武蔵でプレーしたいという選手が増えるよう、球団の価値を高めていきたい」と決意を見せた。
まさかのオファーがあったのは9月半ばのことだった。山崎寿樹オーナー、角球団社長と食事をした際に打診を受けた。埼玉武蔵で2020年にプレーした後、台湾、メキシコ、社会人野球を経て、今季再び契約を結んだ。そこで山崎オーナーから「いずれは運営にも携わってほしい」という話があったという。ただ、GMという新設ポジションのオファーには「うれしい気持ちもあれば、できるのか不安な思いもありました」というのが正直なところだ。
GMといえば、オーナーや球団社長とチーム方針を決め、それに沿ったチーム編成や戦力強化などを進める責任者だ。埼玉武蔵ではこれまで角球団社長がGM的な役割も担っていたが、今後は角球団社長と田澤GMが両輪となり、チームを力強く牽引するイメージだ。
米球界ではマイナーの厳しさも世界一の喜びも味わい、2020年に帰国すると国内外で様々な経験を積んだ。投手として積み重ねた経験はもちろんだが、これまでの道のりで築いた人脈や蓄えた知識は大きな財産となっている。「プロ選手を輩出したい」という球団の思いを実現させるためにも、惜しみなく還元するつもりだ。

「どうしたら選手に『埼玉武蔵でプレーしたい』と思ってもらえるか」
選手として過ごした計2シーズンで感じたのは、独立リーグでプレーする選手の中にはプロを目指す人もいれば、野球を辞めて次のキャリアに方向転換する人もいるという“振れ幅”の大きさだ。
「プロ選手を輩出する場でもありますが、納得して野球を終える場所でもある。だから僕は、選手たちが悔いなく、野球であれ他の仕事であれ、次のステップに踏み出せるような環境を整えられればいいんじゃないかと考えています」と話す田澤。「選手としてやるからには中途半端でなく、一生懸命やってもらいたい」と、さまざまなサポートの方法を模索している。
例えば、田澤自身がアドバイザーを務めるトレーニング施設「INVIX」の活用も選択肢の一つとなり得る。「最近は科学の力を取り入れて野球をしたいという選手が多いので、それも一つ。オーナーや球団社長と相談し、アドバイスをいただきながら、チームや選手にとって利益になることをしていきたいですね」と、すでに頭の中には様々なプランが浮かんでいるようだ。
新GMとして、まずは11月1日と3日に実施されるルートインBCリーグ合同トライアウトに足を運び、来季の戦力となる人材発掘に臨む。ただし、当然ながらめぼしい人材には他球団からもオファーが届く。その中でも「埼玉武蔵でプレーしたい」と選手に選ばれるチームとなるよう、球団の価値向上に努めることも大切な役割と承知している。
「そもそも枠にとらわれず、いろいろなことに挑戦するチームカラーがあると思います。そこに加えて、どうしたら選手に『埼玉武蔵でプレーしたい』と思ってもらえるか。選ばれる球団になれば、プロ入りする選手も生まれるでしょうし、チームのレベルアップにも繋がる。プロに行くために何が必要なのか。僕がアメリカや海外でプレーしてきた分、他とは違うものを提供していきたいですね」
2022年から3シーズンを過ごしたENEOSでは最終年に投手コーチを兼任し、貴重な経験から得た知恵を後輩たちに伝えた。だが、今回のGM就任は、また新たな“還元”の形を見つけるチャンスでもある。
「手探りにはなると思いますが、何ができるのか、楽しみでもあります。球団社長としっかり話し合いをしながら、チームにとっても選手にとってもプラスになることをしていきたいと思います」
40歳で挑むGMと現役投手という二刀流の挑戦。田澤純一が歩む唯一無二のキャリアはまだまだ終わらない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)