76年の歴史に幕…休部前最後の「日本選手権」 西武ドラ2右腕や鳥谷敬コーチらが語る“パナソニック”の誇り

西武からドラフト2位指名を受けた柿本晟弥【写真提供:毎日フォト・サービス】
西武からドラフト2位指名を受けた柿本晟弥【写真提供:毎日フォト・サービス】

76年の歴史に幕を下ろす名門、西武ドラ2指名のエースも誕生

 76年の歴史を誇るパナソニック野球部は、31日に開幕する「第51回 社会人野球日本選手権大会」をもって休部する。3大会ぶり44回目の出場となる今大会は、長年にわたり社会人野球界を牽引してきた名門にとって、最後の大舞台となる。

 大会を目前に控えた22日のドラフト会議では、エースの柿本晟弥投手が西武から2位指名を受けた。パナソニックからのドラフト指名は9年ぶり通算32人目。チームの活動休止が迫るなか、新たにプロの世界へ羽ばたく選手が生まれた。

 最後の大会に向けて、チームを率いる井上貴晴監督、阪神・ロッテなどで活躍した鳥谷敬総合コーチ、そして柿本に話を聞いた。支えてくれた人々への感謝、社会人野球で得たもの、チームへの思い。それぞれの立場から、最後の日本選手権に向けた思いを明かした。

チームの指揮を執る井上貴晴監督 【写真提供:パナソニック野球部】
チームの指揮を執る井上貴晴監督 【写真提供:パナソニック野球部】

「悔いを残さず戦ってほしい」井上貴晴監督が込める感謝

――日本選手権大会への意気込みをお聞かせください。
井上監督(以下、井上)「パナソニック野球部として臨む最後の大会となります。これまで支えてくださった従業員の皆さま、そしてファンの皆さまへ感謝の気持ちを込めて、最後まで全力で戦い抜きます。チーム一丸となり、皆さまの心に残る最後の勇姿をお見せできるよう精一杯頑張りますので、熱いご声援をよろしくお願いいたします」

――最後の大会を迎える選手たちには、どのような言葉をかけていますか。
井上「選手たちにはこれまで何度も『悔いを残さず戦ってほしい』と伝えてきました。そして、これまで支えてくださった皆さまへの感謝の気持ちを胸に、球場へ足を運んでくださる従業員の皆さまやファンの皆さまに、最後までパナソニック野球部らしい姿を貫き通そうと伝えています」

――選手、コーチ、監督として長年チームに携わってきました。パナソニック野球部に対する思いをお聞かせください。
井上「14年間にわたりパナソニック野球部で活動させていただき、多くの方々に支えていただきました。その分、野球部が休部となることに寂しさがありますし、申し訳ない気持ちも正直あります。しかし、長い歴史のなかで多くの先輩方が築き上げてこられた伝統あるチームだからこそ、その誇りを胸に、最後の最後まで胸を張って全力で戦い抜きたいと思います」

鳥谷敬コーチ 【写真提供:毎日フォト・サービス】
鳥谷敬コーチ 【写真提供:毎日フォト・サービス】

指導者として過ごした4年間、鳥谷敬コーチが感じた魅力

――初戦の相手である日本生命には、どのような印象を持っていますか。
鳥谷コーチ(以下、鳥谷)「日本生命は、一度打線が勢いに乗ると非常に手強いチームです。1番から9番まで切れ目のない打線で、どの打者も高い能力を持っているという印象です」

――プロ野球とは異なる社会人野球の世界で、指導者として4年間を過ごしました。この経験から、どのようなことを学びましたか。
鳥谷「プロ野球を目指す選手、社業に戻る選手、そして社会人野球で完全燃焼しようとする選手など、それぞれ異なる目標や立場を持つ選手たちと接するなかで、一人ひとりに寄り添いながら向き合うことの難しさと大切さを学ばせてもらいました」

――プロ野球と社会人野球の双方を経験した立場から、社会人野球、そして日本選手権大会の魅力をどのように感じていますか。
鳥谷「社会人野球の魅力は、プロ野球選手と同年代の選手たちが、それぞれ異なる立場や思いを持ちながらも、一つの目標に向かって力を合わせ、一発勝負の戦いに挑むところにあると思います。また、会社の代表として戦う責任とプレッシャーを背負いながら、独特の緊張感のなかで勝負を繰り広げる点も、社会人野球ならではの大きな魅力だと感じています」

柿本晟弥【写真提供:毎日フォト・サービス】
柿本晟弥【写真提供:毎日フォト・サービス】

「名投手たちに恥じない投球を」エース・柿本晟弥が挑む最後の大会

――歴史あるチームのエースとして、最後の大会を迎えます。どのようなピッチングを目指しますか。
柿本「私が投手として最も大切にしているのは、チームを勝利へ導くピッチングをすることです。これまでパナソニック野球部の歴史を築いてこられた名投手の皆さまにも恥じない投球を披露し、チームの勝利に貢献したいと思います」

――社会人野球を経験するなかで、最も成長したと感じる球種を教えてください。
柿本「大学時代と比べて、最も伸びたと感じているのはストレートです。体の機能向上を目的としたトレーニングに取り組んできたことで、球威が増し、コントロールも安定するなど、投手として大きく成長することができました」

――柿本投手にとって、パナソニック野球部はどのようなチームでしたか。
柿本「練習中はもちろん、練習外でもとにかく明るく、仲の良いチームでした。良い意味で先輩・後輩の垣根がなく、誰とでも気軽にコミュニケーションを取ることができましたし、野球のことからプライベートなことまで何でも相談できる、とても恵まれた環境だったと思います」

◇◇◇◇◇◇

 監督としてチームを率いる井上監督、プロ野球とは異なる環境で指導を重ねてきた鳥谷コーチ、そしてエースとしてマウンドに立つ柿本。それぞれの言葉から、パナソニック野球部への思いと、最後まで全力で戦い抜く覚悟がうかがえる。

 初戦は、31日午後6時から京セラドームで行われる日本生命戦。76年の歴史を締めくくる、本気の戦いが始まる。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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