ブ軍大砲を開花させた「素晴らしい対決」 田澤純一と繰り広げた13球の真剣勝負
控えからレギュラー転向のきっかけとなった4月の対決
人は何かをきっかけに大きく飛躍することがある。今季打者として大ブレークを果たしたブルワーズの大砲ヘスス・アギラールもその1人だ。190センチ、130キロと立派な体格を誇るベネズエラ出身の28歳は、今季35本塁打&108打点の大活躍でオールスターにも選出。イエリッチとともにブルワーズ躍進の重要な役割を担った。米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」電子版では、アギラールの特集記事を掲載。その中で、28歳大砲はターニングポイントとして今年4月21日に迎えた田澤純一投手との対決を挙げている。
ブルワーズ本拠地で行われたマーリンズ戦。5-5の同点で迎えた9回裏、先頭で打席に立ったアギラールは、この回からマウンドに上がった田澤と対峙した。初球は高めの遅いカーブでストライク。2球目には巨体を一回転させる空振りを喫し、2球で追い込まれたが、記事では「ここから本領を発揮した」と振り返っている。
3球目はボールだったが、4球目から3球連続でファウルで粘ると、7球目はボール。8球目をファウルとし、9球目のボールを誘ってフルカウントまで持ち込んだ。記事によると、ここまで実に4分半が経過している。そして10球目から再び3球連続でファウルとすると、13球目、ほぼ真ん中に来た速球をフルスイング。打球は右中間深くに飛ぶサヨナラホームランとなった。
記事では、約7分の攻防の末に放った今季1号ホームランを「我慢と戦略の闘いに勝った」産物だと表現。開幕以来ベンチを温めていたアギラールが、レギュラー一塁手の座を勝ち取るきっかけになったと指摘している。アギラール自身も「あれは最も素晴らしい対決だった」と振り返り、田澤からサヨナラアーチをかけたことで「自信がここ(膝元)からここ(頭の高さ)まで上がったんだ」と話したという。
結果的にサヨナラ弾を浴びた田澤だが、13球の真剣勝負はいつまでもアギラールの心に残るに違いない。
(Full-Count編集部)