なぜ日本記録なのに大々的に報じられない? 連続守備機会無失策記録に見る外野手の評価の難しさ
「無失策=いい外野手」とはならない
今月3日、楽天の聖澤諒外野手がオリックス戦で外野手の連続守備機会無失策の日本プロ野球記録を樹立した。1974年に藤井栄治氏(当時・太平洋)が記録した「820」を更新し、同日に「824」にまで伸ばした。だが、これが翌日の新聞紙面では扱いが小さいところもあり、全般的にそれほど大きく取り上げられることはなかった。
日本記録であり、久しぶりに更新された偉業にも関わらず、なぜ報道の扱いがそこまで大きくないのか。
現役時代、巨人の外野手として活躍した松本匡史氏はこの記録について、「はっきり言って、この記録自体があることを僕も知りませんでした。こういう記録もあるんだと思いましたからね。今まで考えたことがなかった」と苦笑する。それだけ球界の中でも注目されていなかったのである。
松本氏は、この外野手の無失策については非常に評価が難しいと解説する。まず、中堅か両翼かによっても失策しやすいか否かが変わってくる。たとえば、両翼はクッションの跳ね返りがあるため、少しのことでミスが出やすい。
また、選手の足の速さによっても影響される。たとえば、非常に捕球が困難に見えるボールに対して、人よりも足が速いがゆえに追いつき、触った挙げ句に捕球できない場合に、エラーがついてしまう恐れもある。一方、追いつかなければ、グラブに触れることもないわけで失策にはならない。つまり、単純に「無失策=いい外野手」とはならないのである。
外野手は足の速さや判断スピード、ボールの追い方、送球など良し悪しの判断材料がいくつもあり、その実力を「無失策」という記録だけで推し量ることは難しい。
「ボールが頭の上を超そうとして、グラブで触って超えた時に、それがヒットなのか、エラーなのかという判断もある。今までもすごい外野手はたくさんいたんですよ。パ・リーグも。それがここまで記録がいかないというのはどうなのかなっていうのもある。だから評価は難しいんですよね」