岸孝之の快投で思い出される、西口文也が経験した4度の「ノーヒットノーラン未遂」
なんと4度もの「ノーヒットノーラン未遂」を経験している西口
しなやかに腕を振って、岸孝之はロッテ打線から凡打の山を築いていった。敵地、QVCマリンフィールドには強い風が吹いており、上空を気にしながらのピッチングが続いた。
「風があったので変化球はいまいちだった。ストレートは良かったですね」。
走者は1回に井口に与えたフォアボールだけ。最終回は緊張しながらも、丁寧に投げ、ロッテ・荻野をファーストファウルフライに打ち取って、ゲームセット。西武では1996年9月の渡辺久信投手(前西武監督)がオリックス戦で達成して以来のノーヒットノーラン。球団史上9人目の快挙となった。
西武のノーヒットノーランと聞けば、やはりベテラン西口文也の名前を思い出す野球ファンは多いだろう。2度の最多勝を誇り、西武ライオンズの一時代を築いた右腕。岸も尊敬してやまない大先輩ではあるが、西口は過去に4回も、ノーヒットノーラン達成目前に逃している珍しいピッチャーだ。
8回ツーアウトからヒットを許したのが1度。9回ツーアウトからヒットを打たれた試合が2度。そして9回まで相手打線をパーフェクトに抑えながら、0-0のまま延長戦に入ってしまい、その後、ヒットを許した試合が1度。目前で快挙を逃すという悲運のエースを演じている。
悲運の1度目は1999年9月19日の西武ドームでのオリックス戦だった。3回まで6点の援護をもらった西口はテンポよく、相手打線を抑えていった。しかし、8回2死からヒットを打たれて記録ならず。それでも14勝目を挙げた。当時まだ26歳。これから先にノーヒットノーランのチャンスはあると気持ちを切り替えたのだが……。