西はどうなる? 過去のFA例から見える、打者よりも難しい投手のFA移籍
FA移籍先で50勝以上をマークしたのは工藤公康のみ
NPBのフリーエージェント(FA)制度は1993年に始まった。一定の年数を所属球団の1軍でプレーした選手は、自由にNPB球団と契約交渉ができるという制度だ。その後何度か制度は改定され、現在は高卒選手は8年、大卒社会人選手は7年に相当する日数、出場選手登録をされると国内FA権を取得できる。海外FA権は一律で9年での取得と定められている。
今オフは西武の浅村、炭谷、オリックスの西、広島の丸の去就が注目されているが、FA権を行使して他球団に移籍した投手は移籍先でどれほどの活躍を見せたのか。振り返ってみると、打者以上に、投手は苦戦を強いられていることが分かる。以下はFA権を行使して他のNPB球団に移籍した投手の通算勝利数ランキング。年は移籍年。勝利数はFA移籍先での記録だけ。※は2018年の現役。
◯FA移籍投手の通算勝利数
1999年 工藤公康(ダイエー→巨人)53勝0S0H 2回目
1994年 工藤公康(西武→ダイエー)49勝0S
2007年 石井一久(ヤクルト→西武)45勝0S4H
2013年 涌井秀章(西武→ロッテ)45勝0S0H※
2011年 杉内俊哉(ソフトバンク→巨人)39勝0S0H※
2013年 中田賢一(中日→ソフトバンク)39勝0S0H※
2013年 久保康友(阪神→DeNA)29勝0S0H
2013年 大竹寛(広島→巨人)23勝0S0H※
2016年 岸孝之(西武→楽天)19勝0S0H※
2012年 寺原隼人(オリックス→ソフトバンク)16勝0S11H※
2011年 帆足和幸(西武→ソフトバンク)15勝0S0H
1998年 武田一浩(ダイエー→中日)15勝0S
2001年 前田幸長(中日→巨人)11勝4S12H
1995年 河野博文(日本ハム→巨人)10勝5S
2016年 山口俊(DeNA→巨人)10勝1S1H※
2005年 豊田清(西武→巨人)9勝22S71H
2015年 高橋聡文(中日→阪神)9勝1S42H※
1994年 川口和久(広島→巨人)8勝4S
2001年 加藤伸一(オリックス→近鉄)8勝0S
1999年 星野伸之(オリックス→阪神)8勝0S
2009年 藤井秀悟(日本ハム→巨人)7勝0S0H
2014年 成瀬善久(ロッテ→ヤクルト)6勝0S0H※
2017年 野上亮磨(西武→巨人)4勝0S1H※
1997年 山崎慎太郎(近鉄→ダイエー)2勝0S
2017年 増井浩俊(日本ハム→オリックス)2勝35S9H※
2010年 小林宏之(ロッテ→阪神)1勝0S21H
2016年 森福允彦(ソフトバンク→巨人)1勝0S6H※
2005年 野口茂樹(中日→巨人)1勝0S4H
2006年 門倉健(横浜→巨人)1勝0S2H
2002年 若田部健一(ダイエー→横浜)1勝0S
2011年 許銘傑(西武→オリックス)0勝1S10H
1995年 仲田幸司(阪神→ロッテ)0勝0S
1994年 山沖之彦(オリックス→阪神)0勝0S
2000年 川崎憲次郎(ヤクルト→中日)0勝0S
FAでの移籍を経て、移籍先で50勝以上を記録したのは現ソフトバンク監督の工藤公康だけだ。工藤は2度目のFAでダイエーから巨人にFA移籍して53勝をマーク。西武からダイエーに移籍した1回目のFAでも49勝をあげており、これは勝利数2位。続いて石井一久、現役の涌井秀章と続く。ソフトバンクから巨人に移籍した杉内は39勝。西武から楽天に移籍した岸が数字を伸ばしている。