「同志」であり「遠い人」 イチローや田中将大が語る松坂大輔への特別な思い
イチロー「僕にとって唯一“同志”という存在」
13日のヤンキース戦で今季初勝利を挙げたメッツの松坂大輔投手(33)に対して、特別な思いを抱いている2人がいた。「平成の怪物」に敬意を表したのは、対戦相手のヤンキースに所属するイチロー外野手(40)と田中将大投手(25)だ。2人の言葉を聞くと、松坂が今でも日本人選手の中でいかにスペシャルな存在であるかが分かる。
特に、イチローは熱い思いを打ち明けた。この日は前日に続いて腰痛のため試合を欠場。ダッグアウトにすらほとんど姿を現すことなく、室内で回復に向けたメニューをこなした。ただ、松坂が投げ始めるとベンチに出てきて、その状態を確認するかのように1イニングを見届けた。
「僕にとって大輔が背負っているものは、なんか人と違うものがある。常に自分だけではない何かをあいつは背負っているでしょ。今は先発でないし、あいつの中に秘めるものが必ずある。これは僕の推測に過ぎないんですけどね。久しぶりにここ(ヤンキースタジアム)で見たら、今日僕は出てないんだけど、応援したいと言えばちょっと変な言い方というか、おかしいんだけど、一緒に頑張りたいというか、そういう気持ちが今、特にする。なかなか同志という存在はいないけど、大輔はそういう意味で唯一かもしれないね。僕にとってはね。あいつの性格も僕なりに知っているところもある。今までの行動とか言動とかを含めて、僕なりに分析すると、そうだろうなぁと」
2人の関係は長く、深い。松坂が高卒1年目だった1999年、イチローとの初対決が実現した。当時、日本球界で敵なしだった天才打者を、18歳の右腕が3打席連続三振に仕留めた。松坂が「自信が確信に変わった」と言えば、イチローも「真っ直ぐがあれだけ速くて、変化球も素晴らしい。勝負以外の楽しみが出来ました」とその力を認めた。2人の名言は日本中の野球ファンの心を打ち、「名勝負」はそれから注目を浴び続けた。
また、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではチームメートとして第1回、第2回大会を連覇。精神的支柱として日本代表を引っ張ったイチローと、2大会連続MVPの活躍を見せた松坂は、WBCの象徴的存在となった。絆はどこまでも強い。
「これでもう1回先発に戻って、バンバンやってくれたらね。あいつのことが好きな人はそういうことを、彼のうちに秘めた思いとか、そういうところが好きなんだろうしねぇ」
強い思いを語り、最後に「ただ投げている人ではない」と付け加えた。