イチローが子供達に伝えた大切なこと「自分で自分の可能性を決めないで」
イチロー杯の閉会式に出席し、子供達にむけて熱弁
マリナーズの会長付き特別補佐を務めるイチロー外野手が23日、故郷の愛知県西春日井郡豊山町で行われた「第23回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席。大会で上位3位に入った3チームの子供達に熱いメッセージを届けた。
マーリンズからFAとなり今季、6年ぶりにマリナーズに復帰したイチロー。15試合に出場していたが、5月には選手登録を外れ、現職に就くこととなった。チームには帯同し試合前の練習などをこなしていたものの、約半年間、試合には出場できなかった。この激動の2018年をイチローはまず「今年の僕は大きな人生の転機がありました。春どうなるかわからない状態で自主トレを続けて、3月頭にシアトルから声をかけてもらってまたシアトル・マリナーズのユニホームを着ることができたんですけど、それも5月の頭にはゲームには出られないとなりました。そこからチームと一緒には練習はしてましたけど、ゲームには出られないと」と回顧し、この経験から、子供達に“あること”を伝えた。
続けて「みんなに伝えたいことは」と切り出すと「自分ができると思ったことは、必ずできるとは限らない。でも、自分ができないと思ってしまったら、それは絶対にできない、ということを覚えておいて欲しいと思います。周りができないということはたくさんあるんですけど、それでも自分が頑張っていたら、最後できることもたくさんあります。できないことももちろんたくさんあるんですけど、自分の中で自分の可能性を決めないで欲しい」と熱弁。
さらに「その人がどんな人間か、というのは、人が見ているところで見える姿ではなくて、人が見えないところでどんな自分であれるか、ということがその人であるような気がします。自分1人で頑張らないといけないときに頑張ることは、すごく力のいるし、難しいことなんだよね。常に自分に自分はどうなんだということを問う、そんな人間であってほしい、大人になってほしいなと思います」と語りかけた。
たゆまぬ努力を続け、数々の伝説を打ち立ててきた“レジェンド”イチロー。「僕がそれをできているとは決して言えないんだけど…」と語ると「5月頭にゲームに出られなくなってから、1人でトレーニングしたり、ほとんどがそういう時間だった。そこで思ったのは、自分でこれを続けられる自信はあったんだけど、手を抜くことも簡単にできてしまう。そこで手を抜いてしまうと、シーズン終えた時に自分に負けてしまったような感覚が残る」と話し、選手登録を外れることとなった5月以降も厳しいトレーニングを自身に課してきたという。
来春の3月20日、21日にマリナーズはアスレチックスと東京ドームで開幕戦を戦う。イチローもそこで選手としてプレーする予定となっており「今年最後、それは自分でできたんじゃないかと思っていて、それで来年の春に向けて自主トレを続けている状態です」と語っていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)