今日のプロ野球交流戦の注目 セ・パのエース対決を見逃すな
ハイレベルな投手戦が期待される
リーグ首位で交流戦に突入した広島とオリックスがほっともっと神戸で対戦する。注目は、やはり前田健太投手と金子千尋投手の両エースの対決だろう。
前田は前回の登板となった17日の巨人戦で阿部慎之助のライナーを右太ももに受け、負傷降板。万全の状態で投げることは難しいが、マウンドに上がる以上は言い訳にせず、「問題ありません」と言い切る。金子との対戦には、「自分が良い投球をしていれば、相手にプレッシャーを与えることができる」と、十分に意識をして投げ合いに挑む。
一方の金子は「対戦するのは打者ですから。意識はしません」とし、あくまで投手はバッターと対戦するもので前田と対戦するわけではないことを強調した。コメントからも両者の考え方の違いが浮き彫りになるなど、試合前から2人の言動に注目が集まった。金子は今季3勝3敗ながらすでに3完投。防御率も1・60と好調をキープ。強打の広島打線に挑む。
マエケンはメジャー挑戦の希望を表明しており、もしかしたら、金子との投げ合いはシーズン中では最後になるかもしれない。屈指の好投手対決である。
交流戦ではないが、今ではもう日本で見られない対決が3年前にあったことが思い出される。2011年7月20日、東京ドームで行われたダルビッシュ有(日本ハム)VS田中将大(楽天)の投げ合いだ。前売り券も完売し、当日券もなし。4万5000人近いファンが日本最後の名勝負を見に行った。
試合は3対1で日本ハムが勝利。ダルビッシュが9回4安打1失点で完投勝利。田中も8回3失点(自責2)と一人で投げ抜いた。2人はお互いのピッチングで刺激し合い、鬼気迫る表情で投げ合った。今や米国球界の中心にいる2人。日本を代表するピッチャーの競演は、野球ファンの心に刻まれている。
前田の言う通り、ハイレベルなピッチャーと投げ合うことで「1点もやれない」という緊張感が好投につながるケースは多い。2012年5月に巨人でノーヒットノーランを達成した杉内俊哉の相手先発は楽天の田中将大だった。「マー君だったから達成できた」と杉内は田中に感謝の言葉を伝えている。一方で金子のように打者一人一人を打ち取ることが、完投への近道という考え方もある。どちらの投手に軍配が上がるのか。エース対決から目が離せない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count