【中村紀洋の目】「プロの凄さ」が分かる「足の運び」 現役で守備が上手いと感じるのは西武源田

西武・源田壮亮【写真:荒川祐史】
西武・源田壮亮【写真:荒川祐史】

子供、指導者たちに見てほしいプロの技術は守備練習の際の「足の運び」

 2月1日から春季キャンプが始まりました。プロ野球選手は自主トレから自分を追い込んでいますが、ユニフォームを身にまとうとまた一段と気持ちが引き締まります。ケガだけには気を付けてシーズンに向け、充実したキャンプにしてほしいですね。少年野球の子供たち、指導者、野球ファンの中にはキャンプを観に行く方もいると思います。今回は観戦する際にプロの凄さが分かるポイントについてお話しさせていただきます。

 春季キャンプは朝から夕方まで選手の様々な練習を見ることができます。フリー打撃でサク越えを連発する豪快な打撃、キャンプ地によってはブルペンで投手の投球を見ることも可能です。私が野球に携わる子供、指導者たちに見てほしいプロの技術は守備練習の際の「足の運び」です。守備がうまい選手は打球に最短距離で反応する足の運びで、難しい打球も簡単にさばきます。

 現役の選手で守備がうまいと感じるのが西武の源田壮亮選手です。足の速い選手で守備範囲が広いですが、足の運びも非常にスムーズです。野球をしているアマチュアの選手たちは源田選手の足の運びを見て参考になることが多いと思います。同じ遊撃手のソフトバンク・今宮健太選手も肩の強さに定評がありますが、巧みな足の運びも守備が安定している秘訣ではないでしょうか。

 足が速くない選手も「一歩目」にこだわって守備をすることを心がければ、守備能力が上がると思います。私は三塁を守っていましたが、決して足の速い選手ではありません。そのため打者の打球の傾向などを頭に入れ、打球音で素早く反応するようにしていました。一歩目で打球に素早く反応できれば、足の遅さをカバーして追いつくことができます。打球は飛んできてから対応するのでなく、予測するために準備する必要があります。そのためには練習で1本でも多くノックを受けて、実戦を積み重ねるしかありません。

 見て学ぶことも技術向上に役立ちます。優れた選手の技術を参考にすれば上達が早くなります。打球に反応する足の運びは地味に映るかもしれませんが、プロの技術が詰まっています。グラブさばきも大事ですが、優先順位としては足の運びの後だと思います。

 守備は打撃と違う奥深さがあります。子供たちも興味を持って練習を積み重ねれば、どんどん上達していきます。キャンプ観戦で現地に行く方々は守備のうまい選手の足の運びに注目して観戦してみると面白いかもしれません。

文/構成 インプレッション・平尾類

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