使い道は人それぞれ!? 西武キャンプで「名物」スローボールマシンが活躍
選手たちは様々な使い方でスローボールマシンを活用
西武の南郷キャンプと言えば、「地獄」「しんどい」と選手をはじめチーム関係者、そして報道陣が苦しめられる135段の階段が名物だ。
あえてもう一つ名物を挙げるとするならば、室内練習場に置かれたスローボールマシンを推したい。このマシンの先には竹が1本据えられている。放たれたボールに対してセンター方向を意識し、その竹めがけて打ち返す選手もいれば、自分のフォームを確認するためにゆるいボールをしっかり打ち返す選手もいる。
ある日、山川穂高内野手がこのマシンを使って打撃練習を行っていた。マシンに向かって正面に立ち、通常の立ち位置に対して真横から来たボールを引っ張って打つ。真横からのボールを引っ張るためには、腕が身体の近くを通る必要があるという。腕の軌道などを確認した後は通常のバッターボックスの位置に立ち、ボールの下にバットを入れて真上にボールが跳ね上がるようにスピンをかけて打っていた。
この段階では、かちあげるようなスイングはしない。そして、ボールが前方に飛びすぎてはいけない。理想は「ピッチャーフライのように飛ぶこと」だと言う。繰り返しポップフライのようなボールを打ち続けていた山川が、「ヨシ」と小さい声で頷いた打球があった。
まさに、ピッチャーフライのように真上に上がりそのまま落ちてきた打球だった。山川いわく「きれいな回転がかかると真上に飛んで、落ちてくる」らしい。引っ張りの意識と腕の使い方と、ボールの回転。今年もアーチを量産してくれそうで、頼もしい。
別の日には、金子一輝内野手がマシンと対峙していた。常に本塁打を狙う山川とは違い、バットを短く持ってコツコツ当てていくタイプのバッターだ。聞くと「フォームを意識しています」と答える。「打球方向じゃなく、左足を意識しています。ステップの時に左ヒザがぶれてしまう。ぶれてしまうと、身体の開きが早くなってしまうんです」と黙々と打ち込んだ。
今年こそとレギュラー奪取を誓う男の進化にも、ひと役買っている。テーマや、練習の取り組み方も人それぞれだ。スローボールマシンを制する者が、シーズンの成績を制する?かもしれない。
(安藤かなみ / Kanami Ando)