キャンプ別メニューとなった鷹・柳田 耳慣れぬ「股関節外旋筋群損傷」とは?
強打の左打者・柳田にとって重要な作用をする箇所
ソフトバンクは15日、柳田悠岐外野手が「右股関節外旋筋群軽度損傷」の診断を受けたことを発表した。14日に右大腿の異変を訴え、練習を切り上げた後、宮崎市内の病院でMRI検査を受けていた。
キャンプ第4クールは別メニュー調整になる柳田だが、この耳慣れない「右股関節外旋筋群」という故障箇所は一体どこを指し、どのような症状なのだろうか。元日本代表の中村俊輔を専属トレーナーとして支えている入船新盛接骨院の新盛淳司院長が解説してくれた。
「股関節外旋筋群とは、臀部(お尻)の深くにあり、複数の筋肉で構成されています。主には梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋と呼ばれる深層外旋六筋と呼ばれるものです。あぐらをかくような足を開く動きをしたり、足の付け根をひねる動きをしたり、股関節を安定させる際に使われる筋肉です」
メジャーリーグすらも注目する左打者の柳田にとっても、打席で重要な作用をする箇所だと言う。
「左打者の場合、右足を地面につけてスイングする際に右股関節を安定させるための筋肉です。詳細はわかりませんが、太もも裏に張りを訴えたということでしたら、外旋筋群の中でも、太もも裏の筋肉(ハムストリングス)の付け根付近にある部分の損傷かもしれません」
この「股関節外旋筋群」は、ランニングやダッシュの際に痛めるケースが多いという。
「ダッシュをする場面で、スタートの際に上半身を前に倒し足にグッと力を入れた瞬間、スピードが乗って来て足の幅、ストライドが広がった時によく起こる印象です。1回の強い負荷で損傷するのではなく、以前から少しずつ負担がかかっていて、何かの動作がきっかけで痛みが出るという印象があります」
抜群のアスリート能力を誇る柳田の走力も魅力だが、加速するために力を入れる瞬間に、受傷するケースが多いという。それでは一般的に、どれぐらいで競技に復帰できるのだろうか。
「患部の状態が軽ければ、炎症が改善し次第、通常の競技に復帰できます。しかし、細心の注意が必要なケースもあります。損傷が腱の部分だと、完治まで長引くこともありますし、注意が必要な部位だと個人的には思います。太もも裏の筋肉(ハムストリングス)の付け根付近は、骨や筋肉や腱や神経が密集していて診断が難しい部位だと感じています。まずは炎症を改善するように局所を安静にしながらリハビリを進め、ストレッチしての痛み、力を入れた痛み、ダッシュの痛み、競技動作の痛みなどをチェックしながら、段階的に復帰するのが一般的です」
キャンプ第4クールは別メニュー調整となる柳田。3月29日の開幕までに完治させ、万全な姿で戻ってきてもらいたい。
◇新盛淳司(しんもり・じゅんじ)【新浦安しんもり整骨院入船院】【新浦安しんもり整骨院今川院】【クローバー鍼灸整骨院】代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。元日本代表の中村俊輔をスコットランド時代から支える。ブリオベッカ浦安のチーフトレーナーも務めている。
(Full-Count編集部)