緊急捕手起用で思い出される故・木村拓也氏の気概
語り継がれる木村氏の献身的なプレー
4月17日の中日・阪神戦で阪神の今成亮太内野手が元捕手の経験を買われ、約3年ぶりにマスクをかぶった。今成は1点を追う9回に代打で出場。その後、ベンチ入り捕手で残っていた岡崎にも代打・福留が送られた。この時点で出場できる捕手登録の選手はいなくなった。福留が同点タイムリーを放ったため、9回裏の守備が生まれた。そのため、今成が捕手に“復帰”したのだった。
今成は埼玉の名門・浦和学院から2005年のドラフト会議で日本ハムに入団。捕手登録だったが、阪神移籍後の2013年から打撃力を生かすため、外野手で起用され、2014年から三塁手としての起用も増えていた。2015年に正式に内野手登録。ムードメーカーとしても阪神にはなくてはならない存在となっている。延長10回にサヨナラ負けをし、マスクをかぶった今成も悔しさを見せていた。キャンプから有事に備え、準備。ブルペンに入り、投球を受けるなど、捕手2人制の中、いつ訪れてもおかしくない出番に備えていた。
この日のように、登録選手以外の捕手起用で忘れてはならない存在がいる。広島、巨人などで活躍し、2010年に他界した故・木村拓也氏の献身的なプレーだ。
2009年9月4日の巨人-ヤクルト戦。この時、巨人のベンチ捕手は3人制だった。しかし、延長11回に3人目の捕手だった加藤が頭部死球を受け、緊急事態に。ベンチに捕手がいなくなった。この時、マスクをかぶったのが、木村氏だった。広島在籍時の99年、4試合に捕手として出場。10年ぶりの捕手だった。