「これはヤバイ」から昨季念願の初勝利 ヤクルト4年目左腕が手にした自信
2年目までは怪我に悩まされた高橋、4年目は1軍キャンプスタートで「とことんやらないと」
昨年、初の1軍マウンドを経験したヤクルト4年目の高橋奎二投手に、いよいよブレークの予感がする。昨年は10月のDeNA戦で念願の初勝利を挙げたが、ここまで決して順風満帆だった訳ではなかった。
1、2年目はとにかくケガに悩まされた。1年目の5月に2軍で初登板を果たすも肩を負傷。治った翌年の17年5月の試合で150キロを計測し、ここから波に乗っていけるかと思いきや、今度は腰、肩を痛めてしまい、3年目を前に危機感を抱くように……。
「同級生もぼちぼち試合に出てきていたし後輩も投げていたので、これはヤバイなと」
ケガが治った昨季の初め、監督やコーチに相談してトレーニングなどを自分のペースで進めることにした。シーズンが開幕しても、実戦登板間隔を空けてもらい、状態を見ながらマウンドに立つ。高橋は「試合では最初から全力で投げずに様子を見ながら投げて、暖かくなってきたら少し力を入れて投げるようにして。そこから変化球を増やして徐々にペースを上げていったら8月くらいから調子が上がってきました。結果が出るようになってきたので9月に1軍に上がったんです」と振り返る。
いい流れを残して昨シーズンを終え、迎えた今春のキャンプ。「いろんな意味で今年に繋がる部分が多いです。自分は高校時代に甲子園で投げさせてもらっていますが、ああいうところでやっぱり投げさせてもらわないと。今年はプロに入って初めて1軍キャンプに入ったので、1軍にいる以上はとことんやらないといけない」と意気込む。
昨季はケガなくシーズンを終えたことも大きかった。「そういうシーズンを続けていかないと。今年はまずケガをせずにシーズンを過ごす。去年勝ったことで今年も期待されているので、去年からやっていることを継続していきたいです。良い経験ができても、それをどう生かすかは自分次第なので」。肘に負担がかからないよう、テークバックの位置を手前にするなどフォームも改良中だ。
これからオープン戦でアピールをし、目指すは開幕1軍。「状態はいいです」と練習を終え、リラックスした表情を浮かべながら話した。だが、「いずれはローテーションを守れるようになりたいです」と最後に話す高橋の表情には覚悟がにじんでいるように見えた。
(沢井史 / Fumi Sawai)