菊池雄星、記者会見で感極まって54秒沈黙 イチローへの思いに言葉詰まらす
「イチローさんとプレーできた時間というのが最後のギフトだったと思います」
マリナーズの菊池雄星投手が21日、「2019 MGM MLB日本開幕戦」第2戦(東京ドーム)でメジャー初先発を飾った。記念すべきメジャーデビュー戦は勝利の権利まであと1死と迫りながら、4回2/3で91球(58ストライク)を投げて無念の降板。試合後の記者会見では、この日限りで現役を引退したイチロー外野手の質問を受けると、感極まって54秒沈黙する場面もあった。
8回守備でベンチに退いたイチローは、ダグアウト前でチーム全員とハグ&握手を交わした。菊池もイチローとハグをし、「頑張って」と声を掛けられて涙ぐむ場面も。試合後の記者会見で、この時の心境を問われた左腕は、「そうですね……えぇ、うん、まあ……」と声を絞り出した後、マイクを握ったまま、涙を必死で堪えながら、54秒間も沈黙してしまった。
「幸せな時間でしたね」と、ようやく声を出すと、言葉を詰まらせながらも続けた。
「キャンプから……この日まで……イチローさんは日本で(試合を)やることがギフトだって仰有いましたけど、僕にとってはイチローさんとプレーできた時間というのが最後のギフトだったと思います」
さらに、憧れのイチローが右翼を守る中でマウンドに立った心境を問われると、ようやく心が落ち着いたのか、笑顔を浮かべながら温和な口調で語り出した。
「そうですね。本当に小学校3年生の時にチケットを1枚持って、家から電車とバスを乗り継いで……。1人で初めて野球を見に行ったのが、小学校3年生の6月で。もう、その時のイチローさんのままというか(笑)。スーパースターで、憧れで、お話をさせていただくことも当然多くなったんですけど、会う度に手に汗を握ってですね、心臓がバクバク言いながら、お話しさせていただいて。本当に一緒の時間を共有させていただいたことは、僕の一生の財産になると思います。イチローさんから背中で教えていただいたことは多々ありますし、言葉で教えてもらったこともありますので、それを今後の野球人生に必ず生かして、大事にしていきたいと思います」
キャンプインから、わずか1か月半ほどしか経っていないが、この間にイチローから掛けてもらった言葉の数々はしっかり心に刻まれているという。
「本当にいっぱいありすぎて難しいんですけど……。まず言葉もそうですし、本当に毎日準備を徹底して、誰よりも準備をする、そして野球に向き合うという姿勢を、僕は今まで本だったりとか特集だったりとか必ず見てきて、イメージの世界でしかなかったんですけど、それをはるかに超えるような存在感と野球に対する向き合い方を目にして、今まで点でしかなかったのが、すべて線で繋がるような感覚が、オープン戦からずっと勝手に持っていました。それで、会話の中で『とにかく結果を出せ』と。『1年目から結果を出すことでみんなが認めてくれる。それを3年間続ける』っていう話をしていただきましたし、その言葉は本当に今後も(支えになる)。とにかく1年目から。また来週から試合がありますんで、そこに向けてしっかり準備をしていきたいなと思います」
イチローと過ごした日々を宝物に、メジャーリーガー菊池雄星は大きく羽ばたく。
(Full-Count編集部)