引退イチローに地元紙が贈る餞の言葉「この先も見ることない野球選手」
地元紙「シアトル・タイムズ」コラムニストのストーン氏が綴る
21日に東京ドームで行われたアスレチックス戦後に、現役引退を表明したマリナーズのイチロー外野手。日米通算通算4367本の安打を積み重ねてきたレジェンドは日本での“凱旋試合”を最後に現役生活に幕を下ろした。
日本だけでなく、アメリカでもイチロー引退のニュースは衝撃を与えた。米メディアも様々な特集を組んでいるが、地元紙「シアトル・タイムズ」のコラムニストであるラリー・ストーン氏は2001年からシアトルを熱狂された安打製造機へ“餞の言葉”を綴っている。
イチローは21日のアスレチックス戦、8回2死二塁で遊ゴロに倒れた。これが現役最後の打席となった。ストーン氏は「この世に正義があるのなら、イチローは今までに何度もそうしてきたように、ショートへの遅いゴロでセーフになっていただろう」と間一髪アウトとなった打席を記述。続けて「イチローは常にタイミングのマスターだ。木曜日の試合後に引退したのは正しかった」と評した。
イチローの“引退試合”の熱狂はストーン氏の想像以上だったようだ。「日本で彼は理解を超えて崇拝されている。彼は愛され、無条件に彼を尊敬する野球選手たちも同じことをした。マリナーズの選手たちは彼が小走りでフィールドを出る時に並んで迎え、アスレチックスの選手たちはダグアウトから称賛した」と驚嘆。さらには「感情面でも完璧だった。ユウセイ・キクチとディー・ゴードンのように、多くのリビングでも涙が流れた」と45歳レジェンドとの“別れ”を惜しむ慕う同僚たちの感情の高ぶりを伝えている。
昨年5月にフロント入りし、そのままチームに同行しながら練習。今春のスプリングトレーニングで選手として復帰したが、なかなかヒットが出ず24打席連続無安打で日本開幕戦を迎えていた。ストーン氏は「今春、イチローは『野球選手としての素晴らしさが取り戻せないほどに失われた』という事実を受け入れなければならなかった。それは最高のアスリートにとって最も難しい譲歩である」と安打製造機の気持ちを慮りつつも、こう断言している。
「私はこのことを確信している。彼は我々が見たことのない、この先も見ることのない野球選手だった」
記憶にも記録にも残る活躍を見せてきたイチロー。その輝かしい実績は、これからも球史の中で燦然と輝き続けることだろう。
(Full-Count編集部)