田中将大、開幕戦初勝利も満足せず「納得がいかない部分はいっぱいある」
2017年の苦闘を糧に「1つ成長した姿を見せられた」
■ヤンキース 7-2 オリオールズ(日本時間29日・ニューヨーク)
ヤンキース田中将大投手が28日(日本時間29日)、本拠地で行われた2019年開幕戦のオリオールズ戦に先発し、今季初先発初勝利を飾った。自身4度目の開幕マウンドは6回途中2失点で降板したが、チームを勝利へ牽引。2017年の苦闘を経てつかんだ開幕戦初白星に「1つ成長した姿を見せられたとは思っています」と大きく頷いた。2回にはメジャー通算800奪三振をマーク。チームは7-2と快勝した。
これまで3度上がった開幕戦の先発マウンドは0勝2敗、勝敗つかずが1度と結果が出ていなかった。だが、この日は「確実にストライクを取れるボールがなかった」という中でも、速球、スライダー、スプリットに加え、カーブを多めに織り交ぜた配球でオリオールズ打線を攻めた。
初回に2安打されながら無失点とすると、直後の攻撃で4番ボイトがバックスクリーンに3点弾を叩き込み、先制に成功。「何より一番大きかったのは、1回の先取点ですよね。あれですごい楽になりました」と素直な気持ちを明かす。思うようにストライクを取れる球がなく「少し窮屈さを感じながら投げていた」と言いながらも、最後まで四球を与えず。6-1で迎えた5回2死二塁で、マンシーニに中前適時打を許して83球で降板するまで、思い切り腕を振り続けた。
本拠地を埋め尽くす4万6928人の観客が待ち望んだ開幕戦。否が応でも緊張は高まる中、「緊張している自分から目を背けていたら、ねぇ」と、ありのままの自分を受け入れ、置かれた状況をコントロールした。試合開始時の気温は9度。冷たい風が吹く中、決して思い通りにボールが操れる状況ではなかったが、「そういった中でもしっかりとカウントを整えながらゲームを作れた」と語る背景には、2017年の苦闘がある。
3度目の開幕投手を任された2017年。しょっぱなのレイズ戦で2回2/3を投げて7失点と炎上すると、シーズンを通じて思い通りの投球ができず、試行錯誤の日々を送った。結果という形で現れるまで我慢の日々が続いたが、「2017年のシーズンを通じての経験があったこそ、去年があったし、今日のこのオープニングデーのスタートにもつながった」と振り返るほど大きな転機になった。
昨季19勝を挙げた右腕セベリーノが怪我をしたチーム事情もあるが、ブーン監督は「マサヒロにはいつだって安心して大舞台を任せられる」と田中を開幕投手に指名。試練を乗り越えた末に立った2年ぶりの開幕マウンドを、30歳右腕は「誇りに思っています」と話す。そして、ようやく期待に応える白星を挙げ、「1つ成長した姿を見せられたとは思っています。これまでいろんなことがあって、それが自分の糧としてやれてきたからこそだと思います」と胸を張った。
3月29日はまい夫人の誕生日。報道陣から「いいプレゼントになりましたね」と水を向けられると、照れくささからか話をはぐらかそうとしたが、最後に短く「よかったです」と言った。新たな家族が増える2019年。「納得がいかない部分はいっぱいある」とは言うが、チームにとっても家族にとっても頼れる大黒柱は、開幕戦白星という上々のスタートを切ることに成功した。
(Full-Count編集部)